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EVENT REPORT

イベント・レポート

京都市立芸術大学 日本伝統音楽研究センター
第31回公開講座(平成23年度第1回)
「長唄の美と魅力 -表現を生み出す力- 」

2011 10 05
日 時: 2011年9月4日(日)午後3~5時
会 場: 京都市立堀川音楽高等学校 音楽ホール
主 催: 京都市立芸術大学 日本伝統音楽研究センター

こちらも、大学による好企画。
長唄「越後獅子」全曲の演奏、奏者それぞれとのQ&Aやトーク、明快な解説とともに聴く長唄「勧進帳」の合計約2時間半を堪能した。
京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センターの皆さんの熱意と研究成果があふれるような講座である。

実は、美術の同業者に誘っていただき、3年前から長唄を習っている。現在ビギナーであり、この先ずっとアマチュアであることに間違いないが、プロの演奏をたくさん聴き、背景や歴史や歌詞の意味なども深く知って、少しは身につけたいと思っている。が、演奏会が少なく、音源の入手も難しいのである。NHKの伝統芸能番組をチェックしたり、歌舞伎の本舞台などで聴く以外は、普段の暮らしの中ではなかなか長唄に巡り会わない。それは、他の伝統音楽も同様かもしれない。

そのような中で、本講座のような場はたいへんありがたい。とくに、学究的なアプローチと、口承の音楽である側面に触れるような、奏者の方々の個人的な姿勢が聞けたことは貴重だ。また、配布された冊子は、長唄の説明、出演者・解説者の紹介、曲の解説・歌詞、関連の舞台写真、古い長唄正本の図版、流派の解説などで構成されており、ビギナーには保存板である。
本研究センターは、「でんおん連続講座」も開催されており、今年度は浄瑠璃、義太夫節、雅楽などの講座がある。他に、SPレコードにのみ残っている希少音源の鑑賞会などもあり、逃すとまたなかなか巡り会えない内容なのではないかとちょっと焦る。

伝統音楽に触れることは、おおむね欧米的でそればかりでは平面的に陥りがちな今の日本の生活様式に、複雑な陰影を与えてくれると思う。私の世代などは、もっとも伝統音楽から遠ざけられた世代かもしれない。なぜか日本が文化的に欧米に目が向いてばかりの時代に子どもだったからだ。遅ればせながら、生き方を立体化させたいと思うのである。

現代美術とは何か?と前項にも書いた問いにであったとき、現在の古典・伝統は、かつての最新鋭であったというふうに考えながら答えるときがある。100年後の古典として先の人々が再考してくれるものが、今現在の現代美術なのではないかと思う。長唄にも、たとえばそいういう歴史があるのだと思う。
(松尾 惠 MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w)


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