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EVENT REPORT

イベント・レポート

きょうと障害者文化芸術推進機構 ギャラリー兼事務所 art space co-jin オープン展示<よこ×マフ>

2016 03 07
会 期: 前期=2016年1月26日(火)~2月21日(日)

後期=2016年2月24日(水)~3月27日(日)

10時~18時・最終日は17時まで・月曜定休
会 場: art space co-jin
京都市上京区河原町通荒神口上ル宮垣町83レ・フレール1階
info2015cojin@gmail.com

電話/ファックス:050-1110-7655
https://www.facebook.com/artspacecojin/
主 催: きょうと障害者文化芸術推進機構
出展作家(順不同・敬称略): 前期:
吉田裕志(よしだひろし)[京都市ふしみ学園アトリエやっほぅ!!所属]
国保幸宏(こくぼゆきひろ)[京都市ふしみ学園アトリエやっほぅ!!所属]
XL(えっくすえる)[NPO法人 スウィング所属]
後期:
松原日光(まつばらひかる)
藤橋貴之(ふじはしたかし)[(社福)新明塾工房ソラ所属]

昨年設立された<きょうと障害者文化芸術推進機構>の拠点としてart space co-jinがオープンした。本展は、スペースのオープン記念として、京都府が取り組んでいる共生の芸術祭、その今年度展<幅と奥行き>(主催:京都府、於:京都府立文化芸術会館ほか)と同時開催。

開放的な大きなガラス扉を開けると、強烈な絵画たちが目に飛び込んでくる。口々に語られるそれぞれの世界に圧倒され、作者や作品を値踏みするギャラリストとしてのふだんの目線は役に立たない。障害と芸術表現について、知っている限りのこと、知らなければならないことなどが頭の中を駆け巡るが、結局は、自身があらゆる表現とどう関係してきたかを思い返すばかり。美術観賞がさまざま思考することである職業の筆者にとって、art space co-jinでのひとときは、いつの間にか脇へ置いてきた「感動」との再会であるように思った。

それは、想像力と創造性が、社会を動かすことができると再確認したからでもある。

表現は、想像力と創造性の掛け合わせである。表現は、個々が生きている社会を反映している。人間ひとりひとりの存在は危うくて脆い。社会というものも、そもそも危うくて脆い。種々の苦悩を抱えて前に進むしかない社会は、常に弱々しさを潜ませているのだ。その社会に生きるということは、ひとりひとりが弱々しい存在である、言いかえれば<弱者>である。社会のある側面から切り分けた特別な弱者など、本当は存在しないのである。だから、表現が住まいやアトリエからひとたび社会へ歩き出したなら、その表現者は、社会の危うさや脆さを引き受けた堂々たる弱者と認識されるべきである。すでに、その存在を<芸術家>とこの社会は呼んできたのかもしれない。経済的成功や名声を得たプロの芸術家についても同様である。

弱者は強い。弱者と弱者は、ひとりひとり個別のようであって、弱者同士の強いつながりを秘めているからだ。それは、つまり、私たち全部のことである。だから、社会は常にうねっている。動いているのである。

・・・「障害とアート」にはどんな関係があるのか、なぜそれをするのか、それによっていまどんなことが起こっているのか...表現や手段の多様性に出会うことで、少し立ち止まり、考える場になればと思います。

(「共生の芸術祭 幅と奥行き」チラシより)

この素朴な投げかけを読み、立ち止まること・考えることから、art space co-jinが、表現や芸術活動、すなわち弱々しくも強い存在であるすべての人による協同の場となることを筆者は思い描くのだ。

近年、美術の現場では、美術史に対してより先鋭的な挑戦であるかのように、「弱者の立場に立つ」ことが既存の価値を転換する果敢な行動として高く評価されてきた。思考の進化という点では、美術史も観客も、揺さぶられ続け、新たな世界観を獲得するべきだと思うし、まったく世間に知られず種々の不利益を被りつづけてきた人々やコミュニティーにとって、芸術家の行動が力強い代弁であった場合も多い。それを成功例というならば、芸術活動が社会活動であるという明確な自覚をつうじて、制作過程において膨大な対話・丁寧な調査による信頼関係を築いたからにほかならない。そこにはまた、弱者とそれ以外、という関係性はなく、あるいは<弱者>を切り分けるという仮説・仮定は融解していき、<真>の連帯とか、相互理解ゆえの協同があったものと信じる。

芸術家は、脆い社会に生きている弱者である。芸術家が人やコミュニティーを弱者と特定し、作品の素材や取材源として一般情報化することには、大きな矛盾が横たわっている。
(松尾 惠 MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w)

付記

※本展タイトル「よこ×マフ」は、出展者名を一文字ずつ並べたもの
※共生の芸術祭<幅と奥行き>
https://www.facebook.com/artspacecojin/posts/237907593226834
http://www.pref.kyoto.jp/shogaishien/news/habatookuyuki27.html

会場風景 前期

会場風景 前期

会場風景 前期

会場風景 前期

会場風景 後期

会場風景 後期

外観 昼

外観 昼

外観 夜

外観 夜

吉田裕志 「トランペッター」 クレヨン、絵の具、紙/544×394mm  2015

吉田裕志 「トランペッター」 クレヨン、絵の具、紙/544×394mm 2015

国保幸宏 「孔雀」 クレヨン、絵の具、紙/540×930mm  2014

国保幸宏 「孔雀」 クレヨン、絵の具、紙/540×930mm 2014

XL 「植物と果実」 オイルパステル、画用紙/540×390mm  2014

XL 「植物と果実」 オイルパステル、画用紙/540×390mm 2014

松原日光 「ディーゼル機関車と貨物」 布、刺繍糸/347×1854mm  1992

松原日光 「ディーゼル機関車と貨物」 布、刺繍糸/347×1854mm 1992

松原日光 「働く船」 布、刺繍糸/280×380mm  1996

松原日光 「働く船」 布、刺繍糸/280×380mm 1996

藤橋貴之 「チェスキークロムロフ」 色鉛筆、鉛筆、紙/410×530 mm 2008

藤橋貴之 「チェスキークロムロフ」 色鉛筆、鉛筆、紙/410×530 mm 2008


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