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EVENT REPORT

イベント・レポート

木内貴志個展「木内妄想芸術大学作品展 – 独りホームカミング – 」

2016 07 15
会 期: 2016年5月23日(月)〜6月25日(土)12〜18:00
日曜休館、6月5日(日)はオープンキャンパスのため開館
会 場: 成安造形大学【キャンパスが美術館】
ギャラリーアートサイト、ライトギャラリー、ウインドウギャラリー
主 催: 成安造形大学【キャンパスが美術館】
料 金: 入場無料
関連イベント: 「独りホームカミングの午後」 6月11日
トークイベント「今井祝雄+木内貴志」
パーティー「ついでに木内貴志くんを励ます夕べ」
撮 影: 加納俊輔

京都生まれだからというだけでなく、木内貴志は、とても京都的な美術家である。当人の才能や運のみならず、取り巻きが作家を成長させるとすれば、京都にあまた存在する口さがない美術家たちが彼を大きくしたと思うからだ。それと、「愛」である。

会場で、A3の両面にびっしりと書き込まれた「略歴」が配布されていた。今年43才の木内氏が美術活動を始めて22年になるという。1997年、筆者の画廊での個展は、初個展である。駄洒落や自虐ネタは木内氏の作法の根幹だが、大真面目に現代美術と格闘する姿勢は、当時も今も変わらない。本展は、作家自身のセレクションによる大回顧展。各年代の時事ネタを懐かしく見て、笑いも再燃したけれど、何よりも、あらためて木内貴志が、22年間気を抜くこと無く、本気で美術に取り組んできたことがとてもよくわかる展覧会である。彼はけっしてローカルで身内的な美術を相手にしているのではない。歴史や他の作家をよく勉強し、その時々の世相にも感応して、美術が何であるかを捉えようとしている。知的探求以外のなにものでもないのである。絵も実はとてもうまいし、個々の作品の完成度へのこだわりも強く、確かである。個々の作品も、3つの展示室にわたる構成もよかった。直筆の「略歴」は、作家自身による作品論でもあるし、美術をめぐるさまざまな出来事への批評でもある。しかし、自身による肩書きは、「とりあえず美術家」なのだ。

筆者も、「ギャラリスト」と呼ばれるのが時にとても恥ずかしく、木内氏に倣って「とりあえずギャラリスト」と言いたい。いうなれば、でもいい。国際市場に打って出て経済的な成功というような社会的イメージや期待から、逃れたいからである。マジョリティーの期待に応えて何かを担ぐということには、美術の場合、何らかの不幸のタネが見え隠れしているからである。美術の場合、とくに京都では、自身のオリジナルな関心と職名や呼び名は、おおむね一致してこなかった。心持ちどおりに「とりあえず美術家」と名乗る木内氏は、また、「窮地」という落款をしばしば用いている。窮地というのは、関心や好奇心の本当の居場所のようにも感じられて、木内氏は、これからも、美術のみというより、100年来のデュシャンによる呪縛とまともに取組む恥じらいとともに、近現代の世界をしっかり見届けるために、「とりあえず美術家」という職名を使いつづけていくのだろうと思う。

本展主催者の成安造形大学では、構内施設を有効利用して9つのギャラリーを設けている。「キャンパスが美術館」というキャッチフレーズは魅力的で、イキのいい企画、作家のターミナルである。
(松尾 惠 MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w)

木内貴志個展「木内妄想芸術大学作品展 - 独りホームカミング - 」
木内貴志個展「木内妄想芸術大学作品展 - 独りホームカミング - 」
木内貴志個展「木内妄想芸術大学作品展 - 独りホームカミング - 」
こ木内貴志個展「木内妄想芸術大学作品展 - 独りホームカミング - 」
木内貴志個展「木内妄想芸術大学作品展 - 独りホームカミング - 」
木内貴志個展「木内妄想芸術大学作品展 - 独りホームカミング - 」
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