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EVENT REPORT

イベント・レポート

KAC Performing Arts Program / LOVERS
古橋悌二《LOVERS / 永遠の恋人たち》展示

2016 09 29
会 場: 京都芸術センター 講堂
会 期: 2016年7月9日(土)-7月24日(日)10:00-20:00
※7月14日-16日は祇園祭のため17:00閉館
※会期中無休
入 場: 無料
展示内容: 作品展示と合わせて京都市立芸術大学による修復資料等の展示
主 催: 京都芸術センター、京都市立芸術大学芸術資源研究センター、METRO(ナイトパーティー、ダムタイプ上映会)
協 力: ダムタイプオフィス
補 助: 平成28年度文化庁劇場・音楽堂等活性化事業
展示写真撮影: 表恒匡

修復が完了した、古橋悌二による舞台芸術的な映像インスタレーション(現在はタイムベースドな作品というべきだろう)、"LOVERS"制作や修復に関わった人々によるトークイベント、中心メンバーの一人として活躍したダムタイプのパフォーマンス作品の上映会およびゲストによるトーク、古橋氏のもうひとつの活動の場ナイトクラブでのパーティー。7月中旬は、ゆかりのある人にとって特別な月だった。

いずれも興味深いイベントであったが、とりわけ、トークショー(7月18日・ダムタイプ作品上映会の一部)において、浅田彰氏が、故・古橋悌二氏の芸術家としての潔い孤独というような話をされ、とても共感した。本作"LOVERS"が制作された頃、つまりダムタイプではパフォーマンス"S/N"を世界各地で上演していた頃、古橋氏の生き方からだけではなく、彼の周囲から発生した渦のようなもの、それが起こした社会との気圧の谷のような現象から、筆者も、孤独の真の意味と本当の連帯について学んだように思う。それは孤立とは異なる状態を指すのであり、個々に立とうとする人々の厳しさである。

"LOVERS"は、古橋氏が亡くなる前年に、ダムタイプやその他の活動も精力的に行いながら、多くの人と共に完成させた作品である。今回、遠い将来に向けて保存すべき作品として、京都市立芸術大学芸術資源研究センターやダムタイプの人々によって大規模な修復がされた。作品は、1994年キャノンアートラボで初めて発表された後、ニューヨーク近代美術館での展覧会、ヨーロッパ、アメリカ各地に巡回・展示され、1998年にニューヨーク近代美術館のコレクションとなった。巡回展では随時、古橋氏による改訂が行われ、美術館収蔵の際には高谷史郎氏によって更新された。今回修復・展示されたのは、2001年、せんだいメディアテーク開館記念展に際して高谷が再制作し、寄託作品として同館に保されていたヴァージョンとのことだ。修復実現までの経緯や関係者、技術に関する詳細な研究とその記録については、"LOVERS"と同時期に展示された修復資料が大変参考になったが、さらに、京都市立芸術大学「タイムベースト・メディアを用いた美術作品の修復/保存に関するモデル事業 実施報告」を参照していただきたい。
http://www.kcua.ac.jp/arc/lovers/

"LOVERS"は、約11メートル四方の黒い空間の中央に、プロジェクターを積んだタワーが灯台のように立っているだけで、ほかに物影はひとつもない。夜の海を行く船のように、鑑賞者は暗闇に立ち尽くす。壁に映るおぼろげな人々は、全裸の男女で、無言で目の前を駆け抜けたり、立ち止まったり、無限につづくような壁の奥へと消えていく。暗がりを不安定に歩く鑑賞者はセンサーに<監視>されもしていて、唯一、古橋氏自身の姿が鑑賞者に反応する。だが、彼もまた、こちらを向き両腕をひろげたまま、背中から壁の闇へと倒れていく。

床に<ラインを越えるな。そうでなければ飛び越えろ。DO NOT CROSS THE LINE OR JUMP OVER>という文章がプロジェクションされる。予言であり警告。特別な感傷を抜け出してこそ、作品が人生を変えたと潔く言えるのだと思うが、古橋氏や当時のさまざまな記憶とあいまって、何年ぶりかの"LOVERS"も、やはり関係が断ち切れている切なさを掘り起こす。また、ことさら、文章や作中の人々の仕草の意味を考える。暗い海の中を照らすのは、愛や永遠や恋人といった甘い言葉でもあるだろうし、それらを頼ることによって生じるのは自立でもあろうが、依存でもある。ラインは自らがつくるときもあれば、囲い込まれることもある。
(松尾 惠 MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w)

関連イベント

トークイベント

日 時:
7月18日(月・祝)13:00–15:00

会 場:
京都芸術センター フリースペース

料 金:
500円 ※事前申込不要

出 演:
阿部一直(山口情報芸術センターキュレーター/アーティスティック・ディレクター)
石谷治寛(京都市立芸術大学 芸術資源研究センター研究員)
住友文彦(キュレーター/アーツ前橋館長)
石原友明(京都市立芸術大学 芸術資源研究センター所長)
高谷史郎(アーティスト/ダムタイプ)

ファシリテーター:
建畠晢(京都芸術センター館長)

ナイトパーティー

日 時:
7月13日(水)20:00–

会 場:
METRO

料 金:
2,000円+1ドリンク

出演アーティスト:
OK GIRLS(砂山典子・田中真由美・薮内美佐子)
BuBu de la Madeleine
山中透 a.k.a. DJ Lala
南琢也(softpad)
フランソワ・アルデンテ&マルガリータ・アルデンテ

ダムタイプ作品上映会

Day1:
7月18日(月・祝)
16:30-《S/N》 18:00-《memorandum》 19:30-ゲストトークI 20:00-《pH》

Day2:
7月19日(火)
16:30-《Voyage》 18:00-《OR》 19:30-ゲストトークII 20:00-《S/N》

会 場:
METRO ※入れ替えなし、入退場自由

料 金:
1000円+1ドリンク ※メール予約

ゲストトーク I

モデレーター:
浅田彰(京都造形芸術大学大学院 学術研究センター所長)

トークゲスト:
BuBu de la Madeleine(アーティスト)
松尾惠(MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w)

ゲストトーク II

モデレーター:
小崎哲哉(『REALTOKYO』『REALKYOTO』発行人兼編集長)

トークゲスト:
OK GIRLS(砂山典子・田中真由美・薮内美佐子)
福永信(小説家)

古橋悌二「LOVERS / 永遠の恋人たち
古橋悌二「LOVERS / 永遠の恋人たち
古橋悌二「LOVERS / 永遠の恋人たち
トークイベント

トークイベント:7月18日(月・祝)13:00–15:00
京都芸術センター フリースペース

ダムタイプ作品上映会 ゲストトーク I

ダムタイプ作品上映会 ゲストトーク I:7月18日(月・祝)
METRO


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