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EVENT REPORT

イベント・レポート

世界考古学会議第8回京都大会WAC-8 開催記念
「アートと考古学展ー物の声を、土の声を聴けー」

2016 10 05
会 期: 2016年7月23日(土)~9月11日(日)
会 場: 京都文化博物館 3階展示場
主 催: 京都府
京都文化博物館
共 催: 特定非営利活動法人 WAC JAPAN
世界考古学会議第8回京都大会実行委員会
監修・企画: 松井利夫(京都造形芸術大学 教授)
村野正景(京都文化博物館 学芸員)
企画協力: 中村大(立命館グローバル・イノベーション研究機構 専門研究員)
会場構成: dot architects
出品作家: 松井利夫
八木良太(京都造形芸術大学 講師)
日下部一司(大阪美術専門学校 教授)
伊達伸明(京都造形芸術大学 講師)
清水志郎(前・京都造形芸術大学 講師)
安芸早穂子(復元イメージ画家)
小山真有(前・京都造形芸術大学 講師)
助 成: 京都造形芸術大学
撮 影: 表恒匡

以前から、本リポートに本展に関わる作家や展覧会がしばしば登場させてしまったので、本展を取り上げることでいよいよ筆者の隔たりが明らかなのだが、最近の最大の関心であった芸術と考古学の親和性を探る第一段階の区切りになったと感じている。

8月28日〜9月2日に、考古学のオリンピックといわれる「世界考古学会議」が、初めて日本で開催となり、京都が会場となった。本展は、京都に拠点を置くアート&アーケオロジー(芸術と考古学)フォーラムの活動を起点に、会議との同時開催を目標として約2年を費やして企画されたものである。

ウィキペディアによれば、考古学は<人類が残した痕跡(例えば、遺物、遺構など)の研究を通し、人類の活動とその変化を研究する学問>(※1)、芸術は<表現者あるいは表現物と、鑑賞者が相互に作用し合うことなどで、精神的・感覚的な変動を得ようとする活動>(※2)とある。が、部分的に説明を入れ替えても双方が成り立つのである。たとえば、考古学を<過去の表現者あるいは表現物と現代人が相互に作用し合うことなどで、精神的・感覚的な変動を得ようとする活動>、芸術を<人類が残した、あるいはこれから残そうとする痕跡(例えば、遺物、遺構、美術作品など)の研究を通し、人類の過去の活動とこれからの変化を研究する学問>と言い換えられるのではないかと思う。芸術と考古学に特化した活動は、世界でもまだ始まったばかりで、本展や、会議のサテライト会場における美術展・美術と考古学展のような直接的なアプローチは、今回が世界初ではないかといわれている。いずれも、細分化された領域を政治的に越えるといったアプローチではなく、おおづかみではあるが、互いの核心部分を交換するような果敢な試みであったと思う。

<第1章 日本人のモノを見る目、感じ方>、<第2章 考古学の美と魅力の再発見>、<第3章 考古資料を味わい、見立てる>、<第4章 考古遺産が生みだす京の色と形>と章立てされた展示は、現代の美術家による考古学的視点に基づく作品や考古資料の再編成、それに対する考古学者による学問的裏付け、考古資料・古文書など交錯する、あわせて107件の展示。考古資料という無言の物たちに対して、美術家のほうがより積極的であったようにも見えるが、美術家独特の視点による考古学展示ではありえないような展示、たとえば、出土場所や年代の異なる遺物が色彩と形によって集められて並列されたり、通常の考古展示では不可視の資料の<裏側>や<底>にスポットを当てたりと、考古学側に別回路が生じたかのような場面がいくつも見られた。また整理や復元の終わっていない大量の土器や陶器片が、本展のためだけに倉庫から展示室へと運ばれ、まるで発掘現場か考古学者の部屋にいるようである。美術家たちの自由な発想にときに大笑いしてしまうし、子供も大人も率直な感想を口にしながら、ときどき立ち止まって話し合ったりしている。ふだん静まり返っている博物館が自由な鑑賞や想像の場となっていたことも印象深い。

展示資料や展示作品のそれぞれについては、本稿に添付する写真をご覧いただき、芸術と考古学に対する熱い想いやアート&アーケオロジー(芸術と考古学)フォーラムの活動記録については、本展図録(京都文化博物館において販売中)から詳しく知っていただきたいと思う。最短で、芸術と考古学の親和性に近寄れる読み物として優れた魅力的な書物である。また、他の美術展・美術と考古学展等を紹介したポスターをあわせて記載する。裏面は、過去の京都を指し示す考古マップにもなっている。遠い過去から人が住み続けてきた京都は、それ自体が遺跡であるということをあらためて知る。
(松尾 惠 MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w)

※1)「考古学」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2016年9月23日 (金) 02:04 UTC、URL: http://ja.wikipedia.org

※2)「芸術」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2016年5月9日 (月) 01:29  UTC、URL: http://ja.wikipedia.org

「遺物実測図」

「遺物実測図」

「学者の道具」

「学者の道具」

「脱力」「地中動物園」「突起夜行」

「脱力」「地中動物園」「突起夜行」

八木良太「Sound Excavation」

八木良太「Sound Excavation」

八木良太「Space Traveler」

八木良太「Space Traveler」

八木良太「Talking Earthware」

八木良太「Talking Earthware」

日下部一司の作品群

日下部一司の作品群

伊達伸明「建築物ウクレレ化保存計画」作品群

伊達伸明「建築物ウクレレ化保存計画」作品群

(手前)松井利夫「遺跡の土の器」群

(手前)松井利夫「遺跡の土の器」群

会場風景

会場風景

「Space Traveler」のための土器ふれあいスペース

「Space Traveler」のための土器ふれあいスペース


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