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EVENT REPORT

イベント・レポート

知られざるインド細密画の世界– 大正期の木版複製インド細密画から –

2009 12 21
主 催: 学校法人大覚寺学園京都嵯峨芸術大学
会 場: 京都嵯峨芸術大学附属博物館
http://www.kyoto-saga.ac.jp/art_institution/
会 期: 2009年11月20日(金)~12月20日(日)
開館時間: 10時~17時
休館日: 月曜日
入館料: 無料
連絡先: 京都嵯峨芸術大学 博物館・ギャラリー課
電話 075-864-7898
協 力: 西真(京都嵯峨芸術大学名誉教授)
畠中光享(京都造形芸術大学教授)
博物館 内観の様子

京都市内・近郊の各芸術系大学には、ギャラリーや博物館または資料館が附属している。多くは、学生の研究成果発表の場として機能しているが、京都嵯峨芸術大学の場合、博物館では地域や大学関係者と所縁のある展示を主体としている。「知られざるインド細密画の世界 - 大正期の木版複製インド細密画から- 」は、同大学で学生の指導にあたられた西真氏所蔵のインド細密画の複製木版の希少なコレクションの一部と、高名な日本画家である畠中光享宇治のインド細密画のコレクションが初めて出会う機会となった。

展示を構成しているのは、細密画の実物と、大正期に発行された<印度藝術總覧>に収められていた図版の集成である「印度密画」の一部である。図版は、多いもので約70余版重ねられた木版画である。木版によってインド細密画がみごとに復元されており、その優れた技術に感心する。ニッシャ印刷文化振興財団スタッフによれば、大正期のカラー印刷はまだ技術的に洗練されておらず、また非常に費用のかかるものであったとのこと。時代の状況からすれば当然といえるが、原画の美しさを損なうこと無くインド細密画を伝える手段として木版画が最適であったことは、後世の私たちが、優れた木版画そのものを鑑賞できるという意味で幸運である。木版画の優れた技術を知る手がかりとして、本展では、会場に浮世絵の版と刷りの工程を示す資料が展示されていることも興味深い。

西氏の元には、版に関する資料があふれていると聞いた。これからも、折に触れ、出どころや時代背景を秘めたタイムカプセルのようなそれらをひもとく機会にしたいものだというのが、本展を担当された方の素朴な希望であるようだ。先般ある美術館において現代美術の膨大な個人コレクションの公開があったが、ある1人の視点が集めたさまざまなアート(人工物)は、学究的な意味とは異なり、大変にエネルギッシュに脈絡を横断する。収集されたものたちの生命力というのだろうか、雑然とすればするほど力強い。

ところで、本展の核である<印度藝術總覧>という書物の実体に不明な点が多いため、インターネット検索をしてみた。インド美術に関する書物紹介のサイトによると、「印度藝術總覧:5vols, 1921- 1927, 印度藝術研究会, B4判。
・各巻とも12輯(シュウ)からなり、各輯には 5枚の図版が解説つきの紙袋に入れられている。全巻で 300枚の絵画、彫刻、建築、工芸の図版からなり、約 5分の 1がカラー。 大正時代に出版されたインド美術の図集で、カルカッタ博物館の蔵品と日本人の所有物を撮影したものだが、論文はない。」人々の意識が西欧へと偏重した時代、まだ秘境とも呼ばれただろうアジアに目を向けた偉業である。最終巻は大正が終わり、昭和2年の刊行。今度は、大東亜共栄圏という思想へ傾いて行く時代。
(松尾 惠 VOICE GALLERY pfs/w)

スコールの始まり 19世紀初

『王または貴族と女の語らい』
18世紀中ごろ

スコールの始まり 19世紀初

『スコールの始まり』
19世紀初

スコールの始まり 19世紀初

『恋の絵の主人公たち(ナーイカシリーズのひとつ)  恋人を待ち焦がれる女』
18世紀初


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