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世界を信じるための映画 『ギ・あいうえおス 他山の石を以って己の玉を磨くべし』
インタビュー:柴田剛
ゲスト・インタビュアー:山城大督

2017 05 16

2. 出来事(アクシデント)の撮影を実現するチームワークとカメラワーク

(山城)
映画の中では、出演者全員がちゃんと発光体を探していたじゃないですか。演じているように見えない瞬間がいくつもあった。でも、全員が謎の発光体を本気で探す状況を作るのって、一回誰かが本当に見ちゃってて、みんながその出来事を信じているか、それぞれがそういった経験をしたことがないと難しいと思うんです。途中で馬鹿らしいと感じるかもしれないし、そもそも見つけようともしないかもしれない。映画を見ながら、「もしかして発光体を探しているかのように演じたり、発光体じゃなくて何か別のものを探しているところを撮影して素材として使ったんじゃないか」ということさえ考えました。ただ12人という大人数で、役者でもない人たちがそういう演技をするのは難しいだろうし…。

『ギ・あいうえおス 他山の石を以って己の玉を磨くべし』 スチル

『ギ・あいうえおス 他山の石を以って己の玉を磨くべし』 スチル

(柴田)
僕は3.11以降、謎の発光体を追いかけてたんです。

(山城)
追いかけてたんだ...。

(柴田)
今回の『ギ・あいうえおス 他山の石を以って己の玉を磨くべし』は撮影している最中の自分たちをそのまま撮っているという点ではフィクションじゃないんですよね。だからもちろん演技もしていない。現実のそのままのリアクションを瞬発力で切り取っています。これは撮影監督の高木風太君と僕との関係性があるからこそできる撮影です。今まさに目の前で起こっていることだから、「こんな感じで撮ろう」と会話をしているうちにいい瞬間がなくなってしまう。「こんな感じで」と口にした時にはもう…。

(山城)
回ってないといけない。

(柴田)
手持ちカメラじゃなくて、ちゃんとした映画用カメラで撮影しているから、簡単にはいかない。高木風太君とは長い間一緒に映画作りをしてきているけど、阿吽の呼吸が出来上がっているからこそ「ギ・あいうえおス」というプロジェクトが成立する。
撮影に関して、もう一つ重要なのが、謎の発光体が浮かんでいる時にローアングルから煽りで発光体を見上げる動きが加わることです。今回の撮影について、一番最初に高木風太君、現場の制作主任兼ラインプロデューサーの酒井力君と三人で話をしたのは、「今回のルック(※6)どうしよう?」ということでした。発光体を探す僕らだけじゃなく、空に浮かんでいる発光体を撮るから、カメラの目線がローアングルから煽りでいかなきゃいけないんじゃないかという問題は予想していたんです。それをティルト(※7)でやることになるから「じゃあそのために参考になる映画はなんだろう」と事前に勉強していました。

(山城)
ああ...。

(柴田)
前回の『ギ・あいうえおス -ずばぬけたかえうた-』はパン(※8)でよかったんです。今回は発光体がいるかもしれないし、もしいなくても空を見上げて何かを探しながら旅しているということを感じさせなきゃいけない。

※6)映画撮影の方針ともいえる視点のこと。柴田氏独自の映画用語。

※7)カメラを固定したまま、レンズの方向を上下に振ること。

※8)カメラを固定したまま、レンズの方向を左右に振ること。

インタビュー風景
インタビュー風景

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