AMeeT
FEATURE

特集

京都に「ICOM」が やってくる!第2回:ICOM京都大会って何するの?

2018 06 12

全世界の美術館・博物館からプロフェッショナルが集まる「ICOM(国際博物館会議)」が、2019年に京都で開催される。AMeeTでは、日本で初開催となるこの国際会議の開催を記念して、数回にわたって特集を掲載。今回は「ICOM京都大会準備室」を取材し、2019年に向けて準備していること、アーティストやギャラリーの大会への関わり方、そして、今後予定している関連イベントについて話を伺った。

取材・編集:杉谷紗香(piknik)

壁面イメージ
ICOM京都大会準備室の壁面には世界地図が。ICOMでは3年に一度の大会のほかに、30の国際委員会が年に1回開催されている。国際委員会の開催場所は世界中で(アフリカでも! )、地図に貼られた色とりどりの付箋で、次の国際委員会がいつどこで開催されるかがわかるよう情報整理。

ICOM京都大会って何するの?

2019年に日本で初めて開催される「ICOM(International Council of Museums:国際博物館会議)」の国際大会。3年に一度、ミュージアムとミュージアムの専門職が抱える課題をテーマにプロフェッショナルが一堂に会して議論が交わされるのだが、2019年の大会に合わせて参加する専門職の数は、なんと約3,000名! 世界141の国と地域からミュージアム関係者が京都に集まるという、かつてない機会に向けて、どんな準備が進められているのだろう? 京都国立博物館内に2017年4月より設置された「ICOM京都大会準備室」を訪ねてみた。

準備室にお邪魔すると、壁には大きな世界地図や、英語を交えて書かれたディスカッションシートがずらり! にこやかな笑顔で迎えてくれた準備室の渡邉さんは、「ICOMの本部はフランス・パリにあり、会議の公用語は英語・フランス語・スペイン語の3つ。本部メンバーもインターナショナルな構成で、やり取りはもちろん英語です。ICOM京都大会の公式ページも、日本語と公用語の4か国語で情報発信しているんですよ」と言う。

現在は、大会開催に向けて、フランスの本部と、会場となる国立京都国際会館、地元・京都の行政やミュージアムとの調整を進める一方で、ICOM京都大会開催の周知やイベントの準備に奔走中だ。

「直近では、5月19日に大阪で国際シンポジウムを開催しました。5月18日はICOMが定める『国際博物館の日』なんですが、記念日に合わせたシンポジウムを実施したんです」と教えてくれたのは、準備室の関谷さん。

「国際博物館の日では毎年、世界共通テーマを設定して、全国の博物館・美術館・動物園・水族館などで、この日を中心として無料開館や記念事業が多数開催されるんです。今年のシンポジウムでは来年のICOM京都大会に向けてICOM執行役員をはじめ、海外から第一線の博物館関係者を招いて、世界共通テーマの元、将来の博物館像について考えました」(関谷さん)。

プロフェッショナルに混じって、海外招聘のICOM委員による基調講演やシンポジウムを聞き、諸外国の事例紹介を見て思考をめぐらせる…なんて、なかなかできない経験だ(本記事の最後に同シンポジウムのレポートあり)。

さらに、今年9月30日には京都府舞鶴市で、ICOM京都大会のプレ会議として「ICOM舞鶴ミーティング」が開催予定。こちらも国際シンポジウムで、スアイ・アクソイICOM会長や宮田亮平文化庁長官が出席し、“文化をつなぐミュージアムと文化遺産”をテーマに研究者による研究発表が行われる。2019年9月の京都大会開催まであと1年半、着々と準備が進んでいることがわかった。

ところで、ICOM京都大会ではどんなことが行われるのだろう? ミュージアムの可能性について興味がある人なら、ICOM会員以外も参加できるのだろうか。すると、「よく、“学会みたいなものですか?”と質問されるんですが、ICOMの国際大会って、会議だけじゃないんです」と渡邉さんが解説する。

「メインとなる全体会議のほかに、世界の文化人・国際的著名人による基調講演とパネルディスカッション、30ある国際委員会ごとのセッション、ミュージアムフェア(展示会)、エクスカーション、ソーシャルイベントと、7日間の会期中はイベント尽くしです。すべてのイベントはICOM会員でなくても、誰でも参加できますよ」(渡邉さん)(事前登録制、有料)

ICOM Milano 2016: Christo's keynote speech, July 4, 2016

特徴的なのが「エクスカーション」。これは体験型の見学ツアー(大会参加登録者限定)で、京都大会では会期中の1日まるごとを使い、国内外の専門家が参加してみたい!と思うような専用コースを京都府・市内のミュージアムと大学を中心に40件ほど計画中だそう。

「誰でも参加できる、といえば、“ソーシャルイベント”もおもしろいですよ(一部は大会参加登録者限定)。会議が終わった後、夜に京都市内の文化エリアを会場として、さまざまな交流イベントが行われます。夜間開館する博物館もあり、京都全体がまるごとミュージアムになるという趣向です」(関谷さん)

どうやってICOM京都大会に関わる?

全貌がつかめたところで、最後に「一般の大会への関わり方」について聞いてみた。世界中から研究者が集う貴重なチャンスに、地元・京都のアーティストやギャラリー関係者、芸術系大学の学生などが自らの活動を紹介し、研究者たちと交流する機会が生まれたら、おもしろそうだと感じたからだ。

たとえば、ICOMに関心のあるアーティストやギャラリーが大会会期に合わせて関連企画を開催したり、大会のソーシャルイベントを連携して実施できるよう企画したり…。学生ボランティア・市民ボランティアとして大会運営を支えるという関わり方だけでなく、そんな“ICOMを盛り上げる持ち込み企画”ってどうなんですか?と渡邉さんに聞くと、「もちろんウェルカムです! 」との答え。

「というのも、私たちはICOM京都大会の開催後も継続する、ミュージアム関係者やアート関係者のネットワークを築いていきたいと考えているからなんです。大会前や大会中にICOM京都大会に関連づけた展示やイベントを実施していただくのがきっかけとなって、ミュージアムやギャラリーへより多くの人々が訪れ、新たな活動へとつながって、京都のミュージアムやアートが盛り上がっていけば、と願っています」(渡邉さん)

「ICOM京都大会のテーマ“文化をつなぐミュージアム-伝統を未来へ-”でも、つながることがキーワードになっています。どんな方法でICOM京都大会を盛り上げ、京都のミュージアムの発展につながることを提案していけるのか、私たちも手探り状態です。こんなことしたい、一緒になにかやりたい!というご相談は、ぜひ聞かせていただきたいので、準備室までご連絡いただけるとうれしいです」(関谷さん)

AMeeTも“ICOM勝手に応援団”となって、この意義ある国際会議を盛り上げる企画を進行中。WEB では引き続き、同大会にまつわるさまざまなニュースを掲載予定。次回もどうぞお楽しみに!

準備室画像
左から、ICOM京都大会準備室の関谷さん、渡邉さん。準備室のメンバーは全員で5名(2018年4月時点)。「連携して大会を一緒に盛り上げたい!と考えておられる方、準備室までお気軽にご連絡くださいね」と、大会パンフレットとチラシを手に笑顔でアピール!

ICOM京都大会 ソーシャルイベントや関連企画についての提案は

ICOM京都大会準備室 ウェブサイト http://icom-kyoto-2019.org/jp/
tel:075-561-2127 email: office@icomkyoto2019.kyoto

2018 国際博物館の日 記念シンポジウム
イベントレポート

今年の世界共通テーマ「新次元の博物館のつながり―新たなアプローチ、新たな出会い―(Hyperconnected museums: New approaches, new publics)」の元、国内外の多彩なプロフェッショナルを招き、ICOM京都大会2019に向けて開催された国際シンポジウム。前半に実施された海外招聘のICOM委員による基調講演では、ザンビア、ポルトガル、シンガポールでの事例紹介があり、各国での博物館やICOMの活動について写真や資料を元に詳細にレポートされた。

後半のパネルディスカッションでは、SNSをはじめとする新たなコミュニケーションを活用した博物館の可能性について、4名の日本の博物館専門家によって具体例が発表された。特に、SNSの普及で博物館の活動域やターゲット層が拡大したのに合わせ、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスを導入した撮影可能な展覧会の例、Twitterで公式アカウントによる情報拡散がきっかけとなって多彩な層の来館につながった例などが興味深かった。

“ミュージアム”の定義が変化しつつある現在、シンポジウムを通して、共通テーマに関連して将来の博物館像や、博物館の新しいつながりについて考えるきっかけとなった。

日時 2018年5月19日(土)13:30〜17:00
会場 大阪歴史博物館 講堂(大阪市)
主催 公益財団法人日本博物館協会、ICOM日本委員会、ICOM京都大会2019組織委員会
イベント写真
「2018 国際博物館の日 記念シンポジウム」基調講演で登壇する、シンガポール・ナショナル・ヘリテージ・ボードのアルヴィン・タン氏(ICOMシンガポール国内委員長代理)。
PAGE TOP