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京都に「ICOM」が やってくる!第3回:ICOM スアイ・アクソイ会長に聞く

2018 11 21

ミュージアムのこれから

――ICOMは1946年の設立以来、文化遺産や自然遺産の保護の最前線に立っていると言えると思いますが、博物館の災害対策については現在、どのように考えていますか?

残念ながら、自然災害やテロ、紛争などの災害は、“起こってしまう”ということです。日本でも、台風や地震などが身近な問題かと思います。最近では、ブラジル・リオデジャネイロのブラジル国立博物館が火事に見舞われるニュースがありましたね。危機的状況下での文化資産保護には、多くの知識や技術が必要です。

ICOMにはミュージアムのさまざまな専門分野に即して組織された30の国際委員会があり、その中の「ICMS(International Committee for Museum Security:博物館セキュリティ国際委員会)」には、保安・防火・防災の分野における専門職やスペシャリストが参加しています。
また、「DRMC(Disaster Risk Management Committee:災害危機管理委員会)」は、災害などの緊急時における対応を検討する委員会で、リスク分析と危機管理、緊急対策、コレクションの安全性の確保、予防的保存や補修保存、修復などを含んだ、多岐にわたる活動を行います。この委員会によってこれまでに、ネパール、エジプト、イラクへの支援がなされました。

私たちICOMは、約40,000名の専門家の会員から組織されていて、各分野のエキスパートによるネットワークがあります。それらを活用して、実際に現地に赴き、災害対処に関するアドバイスや現地での修復に関するトレーニングなどを支援しています。また、修復などに対する政府の資金も必要なので、文化遺産やコレクションを守る重要性を政府に訴えかけることも私たちの役目なのです。

――これからの未来、博物館はどんな役割を担っていくのでしょうか?

ミュージアムの本質的な役割は、収集・保存・展示の3つです。しかし、これからのミュージアムはあらゆる人に開放された、「カルチュラル・ハブ(文化的拠点)」としての役割が重要になってくるように思います。地域コミュニティと一緒に、巻き込みながら共に作り上げていく。これは大きな変化です。そして、この変化は、ICOM KYOTO 2019の大会テーマ、「Museums as Cultural Hubs: The Future of Tradition(文化をつなぐミュージアム-伝統を未来へ-)」にもつながっています。

――来年の京都大会では、どんなことが巻き起こるのでしょう?

2019年のICOM京都大会では、京都という伝統ある場所に、世界のプロフェッショナルが集まります。多種多様な文化的背景のある人々が出会って、アイデア、経験、さまざまな取り組みが情報交換され、まさに、多様な文化間の対話が繰り広げられるでしょう。それは、未来にとって、大きな、素晴らしい例になると思います。

笑顔でインタビューをしめくくったアクソイ会長。「ICOM舞鶴ミーティング2018」も無事に開催され、国内外の関係者ら約170名が参加して、来年の京都大会につながる有意義な議論がなされた。

開催まであと300日を切ったICOM京都大会。AMeeTも“ICOM勝手に応援団”となって、この意義ある国際会議を盛り上げる企画を進行中。WEB では引き続き、同大会にまつわるさまざまなニュースを掲載予定。次回もどうぞお楽しみに!

「First speech of Suay Aksoy, new ICOM President for 2016-2019」
https://www.youtube.com/watch?v=6RYiYGmolvM

「ICOM舞鶴ミーティング2018」に登壇する、スアイ・アクソイICOM会長
「ICOM舞鶴ミーティング2018」に登壇する、スアイ・アクソイICOM会長。

ICOM舞鶴ミーティング2018
イベントレポート

1年後に迫ったICOM京都大会のテーマについて議論を深めるために開催された国際シンポジウム。「文化をつなぐミュージアムと文化遺産(Cultural Heritage and Museums as Cultural Hubs)」をメインテーマに、「国際的課題とミュージアム」、「地域コミュニティとミュージアム」の2部構成で、世界各地の研究者によるセッションが展開された。

第一部ではフィジー、フィリピン、フィンランド、アイルランド、ノルウェーの研究者が登壇し、世界の最新事例を通して、災害や紛争、環境問題、国際化やグローバル化、高齢化、格差問題など、近年の世界共通の課題に対して現在のミュージアムが社会で果たすべき役割についての考察がなされた。

第二部では、ソーシャルメディアの普及に代表されるデジタル化の進歩など、社会的変化が地域コミュニティに及ぼしている影響と、それらに対するミュージアムの対応方法や地域連携のあり方について議論が交わされた。

日時 9月30日(日)14:15〜19:00
会場 舞鶴市商工観光センター まいづるベイプラザ(京都府舞鶴市)
主催 ICOM、ICOM日本委員会、ICOM京都大会2019組織委員会
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