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京都 Underground Hip-Hopシーンを代表するビートメイカー 前半インタビュー:M.A(BONG BROS)

2019 09 05

京都、滋賀の同世代を中心としたMC、DJ、トラックメイカーからなる総勢17名のHip-Hopクルー BONG BROS。その核となるビートメイカーM.Aが15年以上のキャリアを経て、初めてM.A名義となるアルバム『ICIN』をリリースした。80'sヴィンテージ・サンプラー(AKAI MPC 3000とE-MU SP 1200)のみを使ってトラックを制作するという、世界的に見ても稀有な手法によって、徹底的にアナログサウンドを追求してきたM.Aの到達点が刻まれた1枚となっている。AMeeTではM.Aと、同アルバムに参加したBONG BROSのMOMIO(ラッパー)、P.E(DJ)へのインタビューを前後半に分けて掲載する。前半では「ギリギリのリズムのズレが生み出す中毒性の高いグルーヴ」「サンプリング・ミュージックでありながら楽器感が強い音」といった、M.Aのビートメイクのオリジナリティーを紐解いていく。

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インタビュアー・編集:中本真生(UNGLOBAL STUDIO KYOTO)
取材撮影:CAMO

1. ビートメイカーとしてのオリジナリティーの確立

――前回、俺がBONG BROSにインタビューしたのが2013年 ※1 だった。この6年で大きく変わったことは?

(M.A)
個人的には、ビートメイカーM.Aとしての活動がしっかり形になってきたことが大きかった。BONG BROSをやってきた中で、やっと「こういうビートが作りたい」という自分のやりたいスタイルが決まってきた。自分の好きな作り方がわかってきたんかな。自分が気持ち良くなれる作り方。

M.Aのアルバム"ICIN"(2019/BONG BROS RECORDS)に収録された楽曲「Smoking Gunn」のMV。

――それが固まってきたからアルバムにまとめようと思った?

(M.A)
うん。それを一貫してやった作品になった。
ビートメイクに対する考え方っていうのも自分の中では変化してる。

――変化というのは?

(M.A)
世界中のビートメイカーたちが日々音源をリリースをすることで市場には新譜が並んで、それをチェックして買う人がいて...その中で自分の作品が並んでいることをちゃんと想像してビートを作るようになった。相対的な視点も持てるようになったんかも。誰の音楽も聴かずにやばいビートを作るという姿勢もリスペクトしてる。でもそれだけじゃ俺は物足りないと思うようになった。すべてを聴くということは音楽を楽しむという意味でも間違ってないんかなと。色んな曲が出尽くしている中で、先にやってる人がいるとか知っておきたい。それを知らんとやっててももちろん罪はないんやけど...でも人間の耳って進化していくやんか。

(P.E)
新しいものにも慣れてくるからな。

(M.A)
それに対応したいと思うようになった。

――世界的に「こういう方法が流行ってますよ」「こういうことをやっている人がいますよ」ということをちゃんと自分の耳でキャッチしつつ、Hip-Hopヒストリーの中でどういう表現が行われてきたかということも踏まえて、そのうえで「俺はそうじゃないことをやってやろう」ということを意識するようになった?

(M.A)
そう。それがこの6年間で変わったこと。ある意味で最先端より最先端を目指すというか。BONG BROSの2nd ※2 くらいまではそういうことを意識してなくて天然で作ってた。

M.A
M.A。京都にあるBONG BROSのスタジオにて。
壁面にはアルバムのジャケットの原画含む、ペインターたちの作品が飾られている。

※1 中本真生 インタビュー・編集[2013].“インタビュー|BONG BROS”.&ART.2019-08-25参照.

※2 BONG BROS『The Pains of Childverse』(2012/BONG BROS RECORDS)

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