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京都 Underground Hip-Hopシーンを代表するビートメイカー 後半インタビュー:M.A(BONG BROS)

2019 09 19

京都、滋賀の同世代を中心としたMC、DJ、トラックメイカーからなる総勢17名のHip-Hopクルー BONG BROS。その核となるビートメイカーM.Aが15年以上のキャリアを経て、初めてM.A名義となるアルバム『ICIN』をリリースした。80'sヴィンテージ・サンプラー(AKAI MPC 3000とE-MU SP 1200)のみを使ってトラックを制作するという、世界的に見ても稀有な手法によって、徹底的にアナログサウンドを追求してきたM.Aの到達点が刻まれた1枚となっている。AMeeTではM.Aと、同アルバムに参加したBONG BROSのMOMIO(ラッパー)、P.E(DJ)へのインタビューを前後半に分けて掲載する。後半では「サンプリングでファンクをやる」「ヴィンテージ・サンプラーによるアナログ・サンプリング」といったM.Aのビートメイクへのこだわりから、京都のシーンやクルーへの想いなどが語られている。

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インタビュアー・編集:中本真生(UNGLOBAL STUDIO KYOTO)
取材撮影:CAMO

5. サンプリングでファンクをやる

――「ファンク・ミュージックとして成立させる」ということは、アルバムの中で徹底されてる気がする。

(M.A)
そうすね。「型」としてね、ファンクという「型」でやるというか。畑的にはHip-Hopでやってるけどテーマはファンク。「サンプリングでファンクをやる」っていうことがテーマとしてあるんかなぁ。それが自分の制作のスタイル。

(P.E)
ファンクって言うと一般的にはPファンク ※1 とかの明るいイメージがあるかもしれんけど、このアルバムに収録されてるようなM.Aのファンクは、クールなファンクとかヘヴィなファンク。

(M.A)
時代を遡って色んなファンクを聴いてると、JB(James Brown ※2 )がやるようなシャウトしたり声張るようなスピーディーなファンクが多い。けど、聴かせ方とか楽器の弾き方にはそれぞれのやり方がある。自分が好きなのはクールに、キュっとタイトでのれる感じっていうんかな。ビートが主体でベースがパーカッシヴルやったり、ギターもリフを聴かせるっていうよりは「その一音」を聴かせるような。

(P.E)
新しいM.Aのファンクを生み出してるという感じはするな。

(M.A)
「ジャンキー」とか「STEEL WHEEL」とか、これがファンクやって言われてもいけるやろ。

M.Aのアルバム"ICIN"(2019/BONG BROS RECORDS)に収録された楽曲「ジャンキー」のMV。

(P.E)
ファンクやと思うけどな。

(M.A)
アルバムのイントロの「Black Story」って曲はレゲエっぽいんやけど、これも自分の中ではファンク。とにかく自分のビートは全体がパーカッシヴルかな。ネタを長めに流すことも少なくなってきた。

――さっきM.Aは、目指しているビートについて「子どももわかる」 ※3 と言ってたけど、「わかりやすさ」と「ファンク・ミュージックであること」は直結してるんじゃないかな。リズムの構造を複雑にし過ぎると、ファンクのグルーヴから逸れてしまう。

(M.A)
確かにそうやね。ファンクという括りから逸れへん中でいいもん生み出そうとしてんのかも。それが今できる自分の最大限の音楽。

――前回のインタビュー ※4 でもM.AはHip-Hopマナーへのこだわりを語ってる。例えばMarley Marl ※5 がRed Bull Music Academyのインタビュー ※6 の中で、「自分の初期の作品の多くにはJames Brownが基礎として使われている」「Hip-HopはJames Brownによって生み出されていることは確かなことだ」と語っているけど、Hip-Hopの基礎にあるものがファンク・ミュージックだというのは意識してる?

(M.A)
ニューヨークのHip-Hopにせよ、90’sのHip-Hopにせよそういう要素はあるんかなって思うんやけどな。その部分は絶対的に重要な部分ではある。キックとベースの「ドンッ」っていう鳴り方とか。スネアがしっかり鳴ってるとか。

M.A
M.A

※1 「Pファンクは、ジョージ・クリントンが、1970年代に率いた2組のバンド、パーラメントとファンカデリック、及びその構成メンバーによるファンクミュージックを指す音楽ジャンルであり、またこの音楽集団のことである。」(“Pファンク”.ウィキペディア日本語版.参照2019-09-15.)

※2 ファンク・ミュージックのパイオニア。1950年代から活動し、1960年代にファンク・サウンドを発明。

※3 前半の2章参照。

※4 中本真生 インタビュー・編集[2013].“インタビュー|BONG BROS”.&ART.2019-08-25参照.

※5 HIP HOPのプロデューサー/DJ。サンプラーを使用したトラック制作を定着させたトラックメイカーのパイオニア。

※6 “Marley Marl Lecture (Tokyo 2014) | Red Bull Music Academy”(2014)

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