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空間現代+古舘健 展覧会「群れ」バンドとアーティスト/エンジニアによる共同制作インタビュー:空間現代、古舘健

2019 10 01

2. 高次元におけるミニマル・ミュージック/ミニマル・アート

――それぞれの作品について、どういうアイデアを基に成り立っているかをご説明をいただけますか。最初に、こちらの大きなモニターの作品についてお願いします。

4Kモニターに、リアルタイムで準結晶をモチーフとしたパターンが描画される作品。
4Kモニターに、リアルタイムで準結晶をモチーフとしたパターンが描画される作品。

(古谷野)
この作品は基本的に古舘さんにお任せしました。

(古舘)
ステートメント ※7 にも書いているように、今回は準結晶 ※8 をモチーフとして選びました。結晶っていうのは、ある単位が周期的に空間を埋めている構造。それに対して準結晶っていうのは、高度な秩序はあるんですが周期性がないんですね。この映像の場合も、2種類の3角形のみで画面が埋められているのですが、構造的な繰り返しはそこにはない。
また準結晶は、高次元における結晶構造を低次元に射影したときに現れる構造としても知られています。3次元のグリッドのような構造の影に現れる2次元のパターン。
一方で『Palm』について、佐々木敦 ※9 さんが「差異化の運動が反復性を完全に凌駕」 ※10 していると書かれていたんですが、そんな「ミニマル・ミュージック ※11 を思わせつつも、そこから逸脱していくような音楽」を、「我々が存在する3次元よりもさらに高次元にあるミニマル・ミュージックをこの次元に落としこんだもの」と考えられないか。こうした意図で準結晶を象徴として選んだわけです。
この作品に関しては、素直に準結晶の構造を見せています。今(8月30日時点)は非常にシンプルなグラデーションになっていますが、フライヤーのビジュアルのように図形内に何らかの画が入るとか、もう少しエモーショナルな要素が加われば印象が変わってくると思っていて、会期中にアップデートをかける予定です。

――インタビュー前に伺ったお話によると、本来はレンチキュラーレンズ ※12 をこちらの作品にも取り付けようと思っていたんですよね。

(古舘)
そうです。でもこのサイズのレンチキュラーレンズが今回は手に入らなかった。だからこちらの作品はシンプルに映像のみで見せて、レンチキュラーレンズを用いた作品は独立した作品として作ることにしました。それが奥の小さなモニターの作品です。

古舘 健
古舘 健

※7 ステートメントは同展の公式ページ参照。

※8 準結晶とは「結晶」でも「非結晶」でもない固体の第3の形態。1984年に発表された。詳細は以下記事など参照。
“『準結晶』の発見 2011年ノーベル化学賞解説”.大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構.参照2019-08-31.

※9 1964年生まれ。批評家。音楽レーベルHEADZ主宰。芸術文化の諸ジャンルを貫通する批評活動を行う。空間現代は1stアルバム、2ndアルバムを含む多数の音源をHEADZからリリースしている。

※10 佐々木敦 執筆[2019].“コード・デコード・エンコード”.空間現代WEBサイト.参照2019-09-29.

※11 「1960年代からアメリカのラ・モンテ・ヤング,S.ライヒ,T.ライリーらが始めた実験音楽の傾向。「反復音楽」とも呼ばれるように,短い旋律やリズム・パターンを繰返すプロセスのなかで,位相をずらしたり音をとばすなどして徐々に変化させていくのが特徴。」(“ミニマル・ミュージック” コトバンク.参照2019-09-12.)

※12 レンチキュラーレンズについては5章参照。

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