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レポート:緊急シンポジウム「京都市による京都駅東南部エリア『都市計画の見直し素案』を考える」

2019 11 12

2019年10月7日。東九条にオープンしたばかりの新しい劇場THEATRE E9 KYOTO(以下、E9)で、緊急シンポジウムが開催された。京都市立芸術大学の移転を契機とした「芸術文化によるまちづくり」の構想が進む同エリアだが、今年8月に京都市が発表した都市計画の見直し素案は、まちの未来に一抹の不安を及ぼす内容であった。それを受けて、地域住民、同地で活動するアーティスト、まちづくりの識者らが集まって行われたシンポジウムの模様をお届けする。 同シンポジウムでは、まず問題を洗い出し、共有するということに重点が置かれていた。

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文:島貫泰介(美術ライター/編集者)
撮影:井上嘉和

1. 京都市による、拙速な見直し素案

なぜこのシンポジウムに「緊急」の二文字が加えられているかというと、同年8月末、京都市からまさに電撃的に発表された「京都駅周辺における『文化芸術都市・京都』の新たな文化ゾーンの創出に向けた都市計画の見直し素案について」 ※1 が発端になっている。同素案の詳細はのちに触れるが、これは17年3月に出された「京都駅東南部エリア活性化方針」 ※2 を具体化するもので、京都芸大が移転する崇仁地区(京都駅東部にある被差別部落)に隣接し、在日韓国・朝鮮人が多く住む東九条地区を含んだエリアにおいて、「文化芸術」と「若者が集まること」を軸にしたまちづくりを促進する内容である。

映画『パッチギ!』(井筒和幸監督、2005年)で、わかりやすく描かれているように、東九条はその特殊な社会背景のために、長らく街の整備や改善が進まなかった歴史を持つ。ところが、14年に発表された崇仁地区への京都市立芸術大学移転(2023年を予定)によって状況は一転。ホテルやマンションなどの建設ラッシュによって地価が高騰するいっぽうで、京都市が所有する大きな空き地は手付かずのまま残されている、というのが現在の東南部エリアの状況であり、今回の見直し素案が発表されるに至った前提としてある。

しかし問題はその発表の仕方である。見直し素案の発表後、9月初旬に崇仁地区と東九条で合計2回の市民説明会 ※3 があり、さらに2回、地域自治会に対する説明会(非公開)が行われた。1ヶ月弱のあいだに行われたわずか4回の説明会で地域住民の理解が得られたとはとうてい言い難く、さらに京都市が呼びかけたパブリックコメントの受付はすでに9月18日に終了 ※4 、議会での検討段階に進んでおり、早ければ年内の議案通過もありえるという。

近年、行政・自治体の情報公開の遅れ、不透明性への批判の声が多く上がっているが、今回の見直し素案もまた「市民に対するアリバイづくりのためのポーズ」との厳しい非難を受けても仕方のないものだろう。そういった状況と時勢の急激な変化を受けて、今回の緊急シンポジウムは開催に至ったわけだ。

※1 都市計画の見直し素案の概要は、以下ページからダウンロード可能な「市民意見募集冊子」(PDF)参照。
“「京都駅周辺における『文化芸術都市・京都』の新たな文化ゾーンの創出に向けた都市計画の見直し素案について」”.京都市情報館(京都市 公式サイト).参照2019-11-08.

※2 京都駅東南部エリア活性化方針の詳細は、以下ページからダウンロード可能な「京都駅東南部エリア活性化方針」(PDF)参照。
“「京都駅東南部エリア活性化方針」の策定について”.京都市情報館(京都市 公式サイト).参照2019-11-08.

※3 市民説明会の概要については以下ページ参照。
“【広報資料】京都駅周辺における「文化芸術都市・京都」の新たな文化ゾーンの創出に向けた都市計画の見直し素案に関する市民意見の募集について”.京都市情報館(京都市 公式サイト).参照2019-11-08.

※4 パブリックコメントの受付については、以下ページ参照。
“「京都駅周辺における『文化芸術都市・京都』の新たな文化ゾーンの創出に向けた都市計画の見直し素案について」”.京都市情報館(京都市 公式サイト).参照2019-11-08.

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