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レポート:緊急シンポジウム「京都市による京都駅東南部エリア『都市計画の見直し素案』を考える」

2019 11 12

見直し素案内にある規制緩和に関しては、元京都市職員で、東九条の地域問題に長らく関わり、4年前に活性化方針の原案づくりも担当していた淀野実(世界人権問題研究センター常務理事)から説明が加えられた。

淀野実
淀野実

(淀野)
おおまかな見直しの趣旨は、河原町以東において文化芸術施設の進出を促すことで、スーパー、飲食店といった住民の利便性を高める賑わい施設の開店を誘導し、新たな人の流れやクリエイティブな人や物が集まるエリアにしていこうというものですが、そのために構想されているのが、河原町以東エリアに今後建設される建物の容積率(敷地面積に対して建築可能な延べ床面積の割合)の規制緩和です。

  1. 今まで建たなかった劇場や映画館のほか、美術館、アーティストのスタジオなどの容積率は最大400%まで認める。
  2. 若者や芸術家の移住、定住を促進するため、文化芸術施設を併設したマンションや大学、各種学校についても400%まで認める。
  3. カフェなどの店舗やオフィスなどの容積率も、現行の200%から250%に引き上げる。
  4. ホテルについての容積率緩和は認めないが、ギャラリーなどの文化芸術施設を併設する場合、施設部分はボーナスとして容積率緩和を認める。

このうちもっとも危惧されるのは4の例です。建設後にギャラリーを客室に変えるという不正の可能性がありえますが、この場合でも厳しく違反指導をしていくということです。以上が見直し内容ですが、問題は、この案が街の将来像の実現にどう結びつくのかを示せていないことでしょう。

民族差別の問題を抱える東九条では、同和地区に住む人々との分断など、多くの課題がありました。京都市立芸大の副理事長でもあった私は、芸大が橋渡しとなり、両方から差別を乗り越えるまちづくりをライフワークとして取り組んできました。しかし、今回の京都市による計画の変更はあまりにも早急で、住民の意思を反映した将来像に欠けていると感じています。これまでの住民の声、そしてこのシンポジウムでの意見をアドバイスとして、そして警告として京都市には受け止めてほしい。活性化方針の精神に立ち返り、住民との議論も並行的に進めてほしいと思っています。

蔭山陽太
蔭山陽太

(蔭山)
E9支配人の蔭山です。見直し素案に関する公開非公開計全4回のうち3回の説明会に私は参加しましたが、京都市による説明は地元の人たちの理解を得られるものではありませんでした。

地元の生活を無視した都市計画はあってはなりません。これまで私は複数の公共劇場の運営に関わってきましたが、この素案のなかで触れられている劇場経営の構想は現実的ではないと考えています。公営の劇場であっても、最低2000席はなければ経営は厳しい。しかし、市のプランはそのような大型劇場の運営を構想したものではないでしょう。おそらく詳細な検討も行われないまま、いわゆる民間任せの文化政策として、この素案は書かれたのではないかと思います。

以前、支配人を務めていた神奈川県立の公共劇場は、劇場周辺を文化ゾーンにするという県の当初計画で建てられました。しかし、その後に起きたリーマンショックで、県から土地を購入した事業者が土地を転売したため、結果的に駐車場やホテル用地になってしまいました。

そういった予想されうるリスクが、この見直し素案にはまったく書かれていません。強い不安を感じています。

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