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京都に「ICOM」が やってくる!第6回:ICOM京都大会のその後

2020 01 15

9月1〜7日に京都で開催された、全世界の美術館・博物館からプロフェッショナルが集まる「ICOM(International Council of Museums:国際博物館会議)」。AMeeTでは、日本で初開催となるこの国際会議の開催を記念して、数回にわたって特集を掲載。最終回となる今回は、「ICOM京都大会」終了後の「ICOM京都大会準備室」を取材し、今後の展望を伺った。

取材・編集・撮影:杉谷紗香(piknik)

ICOM京都大会がもたらしたもの

2019年9月上旬に開催された「第25回ICOM(国際博物館会議)京都大会」が無事閉会してから4か月。120の国と地域から、大会史上最多となる4,590名の参加者が集まり、7日間の会期中、チケットは連日ソールドアウトという大盛況だった。
AMeeTでは、2018年初めからICOM京都大会の取材を続けてきたが、2年に渡る特集記事の締めくくりに、ICOM京都大会の「その後」への展望を伺うべく、11月にICOM京都大会準備室を取材した。

――ICOM京都大会に日本から参加した方は、1,866名と過去最多人数だったそうですが、大会を経て、なにか変わったと感じたことはありますか?

一番感じたことは、ミュージアム関係者のやりがいや意識が変わったことではないでしょうか。ICOM大会の京都への誘致活動を始めた頃は、「国際発信がなぜ必要なのか?」という反応も結構多かったんです。それに、ICOM大会や国際委員会に参加できるのも、館長や課長など、ミュージアム関係者の中でもごく一部でした。それが、今回の日本での開催を機に、若手の学芸員も興味を持って、参加してくださったのがうれしかったですね。大会で来日したミュージアム関係者との交流を経て、日本ではなかなか感じられない雰囲気や、外向きに発信する大切さを知ることができ、「日々の取り組みに改めてやりがいが見いだせた」「交流を通してモチベーションがあがった」という話も聞きました。

もう一つは、ミュージアム関係者同士のネットワーク構築ができた点です。今回初めてICOM大会に参加した方がICOM大会会場でネットワークを広げて、次につながる交流を各都道府県で始めているなど、波及効果の大きさが印象的でした。参加者それぞれの目線で、日々の現場に持ち帰れたものが予想以上にたくさんあったというのは、とてもうれしいことです。ICOM大会での提案が受け入れられ、ミュージアムのよりよいあり方につながっていくことを願っています。

――参加者のアクセシビリティについては、どんな反応がありましたか? 会場となった京都国際会館では、子どもを連れた参加者の姿もたくさん見られたのが印象的でした。

参加者のための託児所は開催期間中、毎日実施していました。ベビーカーで会場へ来られる方も多かったですね。また、会場で準備したお弁当などの食事にも気を使い、一般の方向けに加えて、ベジタリアン向けとハラルフードを準備しました。さらに、手話通訳や字幕による同時通訳なども実施し、目の見えない方、耳の聞こえない方も参加いただけるように配慮しました。アクセシビリティに関しては、大会を準備する側として考えるべきことが本当にたくさんありました。

また、ICOM京都大会では、サスティナビリティ(持続可能性)に配慮することもミッションの1つとしていました。お弁当はプラスチックではなく紙の箱を使用したほか、会場で配布するコングレス・バッグに入れたクリアファイルとボールペンも日本発の新素材「LIMEX(紙・プラスチックの代替となる素材)」を使用したものを採用しました。今後は、サスティナビリティの視点も取り入れて準備を進めていかないといけないのだと強く感じましたね。

プレナリーセッション「博物館による持続可能な未来の共創(Plenary Session: Curating Sustainable Futures Through Museums)」
ICOM京都大会2日目には、サスティナビリティがテーマのプレナリーセッション「博物館による持続可能な未来の共創(Plenary Session: Curating Sustainable Futures Through Museums)」が開催され、日本科学未来館館長の毛利衛さんなどが登壇した。

――大会運営という視点で振り返ってみて、やりがいを感じたことなどはありましたか?

予想以上に参加者が殺到したことで会場が大混雑となったことや、入場券の売り切れによって参加をお断りしなければならない方がかなりいたことなど、反省点も多々ありました。ですが、大会参加者へのアンケートでは、90%の満足度を得ることができるなど、参加者からの評判がとても良かったのは、大会準備室として、とても励みになりました。
また、規模感の違う国際会議の運営を経験できたことも、やりがいにつながりました。通常、国内で開催するミュージアム関連のシンポジウムとは比較にならないほど、ICOM大会の規模はとても大きい。これまで経験した会議やシンポジウムの規模は20〜50名でしたが、ICOM大会はすべてが100名単位で動いていくんです。大会を通して学んだ部分が多くありました。

――会期中には京都市内各所で関連イベントが開催されましたが、それらの反応はいかがでしたか?

まさに、「京都の街全体がミュージアムになった」と感じました。京都市・京都府を中心に関係各所の多大なご協力があり、街全体でICOM大会を盛り上げることができたという印象です。たとえば清水寺で開催された「CONTACT つなぐ・むすぶ 日本と世界のアート展」(2019年9月1日〜8日開催)は連日ソールドアウトという大盛況でしたが、ICOM大会参加者のための早朝開館対応などにご協力いただいたりもしました。
そのほかにもさまざまな展示や企画が各所であり、京都市長の門川大作さんからは、「ICOM京都大会を機に、今後もいろんな取り組みを行いたい」といううれしいお言葉もありました。また、京都市教育委員会からICOM京都大会の取り組みについての表彰も受けることができました。この大会がきっかけとなってモデルケースができ、日本各地でミュージアムにまつわる企画が活性化し、地域振興につながっていくとうれしいですね。

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