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漫画家 三浦よし木 インタビュー 前半意思を持った布団と、股間のおばけ

2021 03 09

東村アキコ氏に絶賛され、講談社の新人賞「第37回MANGA OPEN」で東村アキコ賞と編集部賞のダブル受賞を果たした『僕の変な彼女』や、文字の上で24時間生活をしたドキュメンタリー漫画『も』など、斜め上を行く発想と卓越した構成力で読者を驚かせ続ける漫画家・三浦よし木。2021年2月にはオンライン・アートプロジェクト「AICHI⇆ONLINE」にて、読みきり漫画『花をうめる(原作:新美南吉)』が公開されるなど、その創作活動に注目が集まるなか、AMeeTでは、10,000字超えのロング・インタビューを前後半に分けて掲載する。前編では、漫画家としてのキャリアや、創造のプロセスにおける苦悩と葛藤、ファンタジーから実体験漫画に挑戦した経緯など、さまざまなエピソードを伺った。

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インタビュアー・編集:中本真生(UNGLOBAL STUDIO KYOTO)
編集:杉谷紗香(piknik)

1. 漫画家・三浦よし木のキャリア

――前半は、三浦さんの漫画家としての経歴と作家性を振り返っていきたいと思います。まず、漫画家としてのキャリアのスタートを教えてください。

中学2年生ぐらいからアフタヌーンの四季賞に応募し続けていたのですが、2007年に応募した『僕はフトンです』で佳作をいただきました。

――アフタヌーンの本紙には載ったのでしょうか。

本紙には載っていないので、デビューはできておりません。

――それが最初に評価されたタイミングということですね。どういう作品だったんですか?

布団に意思があるという設定の作品です。好きな人ができると、布団を好きな人に見立てて抱きしめたりするじゃないですか。物語では、主人公のゆりちゃんが布団のことをギューッとするから、布団は、「ゆりちゃんは僕のことを好きなのかもしれない」と勘違いしてしまう。でもある時、「僕」ではなくて、ゆりちゃんの同級生の田中くんに見立てていたことに気付いてしまって、苦しい思いをするというお話です。「僕」のことをすごく大事にしてくれるゆりちゃんと布団の素敵な恋物語です。

『僕はフトンです』原稿
2007年にアフタヌーン主催の新人賞 四季賞で佳作をとった『僕はフトンです』の原稿。

――その時点からファンタジーの要素は入っていたんですね。

自分自身もその当時、好きな男の子のことを布団に見立ててしまうっていうことがあったのですが、そういうすごくリアルな感情や行動を、ファンタジーとか非現実的な設定で見せられたらいいなと思って描きました。漫画を描くうえでそういう感覚は、ずっと自分の中にあります。

――初めて商業誌に掲載されたのは、2015年に講談社の新人賞「第37回MANGA OPEN」で東村アキコ賞と編集部賞のダブル受賞を果たした『僕の変な彼女』でしょうか。

そうです。その間にも四季賞とかに応募はしていたんですけど、受賞できず、この『僕はフトンです』から7年後にようやくデビューできました。

――時間がかかりましたね。

かかりましたね。この間もずっと漫画のことしか考えてなかったんです。それなのに一つも結果が出ないという恐怖の状況が続きました。いまと特に変わらないんですけど(笑)。

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