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FEATURE

特集

Kyoto Hall Catalogue β|Kyoto City Edition 2016
京都ホールカタログβ版[京都市内編]

2016 04 08

多くの人にとって「公共建築」という言葉には、「公によって設置された建築物」というイメージがまず先にあるように思う。ただ、本来は施設の設置者や管理運営者が誰であろうと、自分たちに使うことができる施設を自分たちの資産としてより広く活用することが望ましいはず。一方で、ある地域においてそうした資産がどの程度存在しているのかという疑問に答えられる人はそう多くはないだろう。そこで今回は、上のような問題に対する第一歩として、京都にある「ホール」に着目し、「京都ホールカタログβ版|Kyoto Hall Catalogue β」なる地図をつくった。

寄稿: 榊原充大(RAD)

京都ホールカタログ[京都市内編]

1. 京都にはどれくらいの「ホール」があるのか?

「公共建築」という言葉は誰にでも馴染みのあるものだろう。『大辞林』第3版の解説によれば、「国や地方公共団体などが設置し,一般市民が利用する建築物。」とある。公共建築という言葉には「公によって設置された建築物」というイメージがまず先にあるように思う。この解説はそれを象徴しているようにも読める。

ただ、「公共建築」を「公共的な建築物」ととらえることもできる。むしろ、施設の設置者や管理運営者が誰であろうと、自分たちに使うことができる施設を自分たちの資産としてより広く活用することが望ましいはず。もちろんこうした言い方には筆者自身による「公共性」の解釈が否応なく入りこむ。ゆえに反論もあるかもしれない。だが、建築物やその他私たちが普段日常的なものとしている資産を通して、公共性という概念に関する議論が起こることは、個人的には望ましいことだと考えている。

一方で、ある地域において「公共建築」あるいはそう呼びうる資産が、どの程度存在しているのかという疑問に答えられる人は、そう多くはないだろう。

そこで今回は、上のような問題に対する第一歩として、京都にある「ホール」に着目した。その背景には、誰かが何かを表現しようとしたときに、その目的のために開かれている「ホール」は、仮に「国や地方公共団体などによって設置」されていなくとも、また業としてその貸出をしていたとしても、「公共性」を持つのではないか、という仮説がある。

その結果が、「京都ホールカタログβ版|Kyoto Hall Catalogue β」なる地図だ。まず前半では[京都市内編]として京都市内の「ホール」を、後半では京都府にある京都市外の「ホール」を、それぞれ100件集めた。

後半はこちら。
「京都ホールカタログβ版[京都市外編]|Kyoto Hall Catalogue β Outside Kyoto City Edition 2016」

すぐに思いつく通り、ホールなるものの定義は広い。Wikipediaを開けば、「施設や広間等を意味する、建造物における用法(※1)」とあるが、それがつまり何を指すのかは人によって異なるだろう。そこで、今回は「常設舞台がある、または舞台/演劇/音楽公演利用を想定してつくられた施設」を「ホール」と定義してみたい。こうした定義は、今回問題にする「公共的な建築物」という京都の資産に注目するためのものである。さらに、こうした定義における「ホール」の中でも、「他者」へ機会を開くという「公共性」を見るために「条件が課される場合もあるが、貸出を想定しているホール」かつ「貸出している旨を告知しているホール」という調査基準を設けた(※2)。

もちろん今回の調査で京都におけるすべての「ホール」、ましてや「公共的な建築物」が包括できるわけではない。この「京都ホールカタログβ版」は、京都において娯楽を楽しんだり表現活動を行ったりするための、日常に関わる公共的な資産の現在的な分布である。今後新たに発見されたり、新たに消えたり生まれたりする資産も多くある。追加、修正すべき箇所が見つかることを考慮し、あくまでも試験版として後の改良を想定したものであることを示すために「β版」と明記した。

※1)Wikipedia:「ホール」より
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%AB

※2)今回のホールの定義に入るけれども、今回の調査基準からは外れている「ホール」や、あるいは今回の定義にも調査基準にも入るものの筆者が見過ごしている「ホール」は、まだ多くあると思います。また情報の誤りが無いように努めましたが、お気付きの点がある際はぜひ直接筆者にご連絡をいただけたら幸いです。


榊原 充大 Mitsuhiro Sakakibara

榊原 充大 Mitsuhiro Sakakibara

建築家/リサーチャー。1984年愛知県生まれ。2007年神戸大学文学部人文学科芸術学専修卒業。建築に関する取材執筆、物件活用提案、調査成果物やアーカイブシステムの構築など、編集を軸にした事業を行う。2008年には、より多くの人が日常的に都市や建築へ関わるチャンネルを増やすことをねらいとし、建築リサーチ組織RADを共同で開始。RADとして建築展覧会、町家改修ワークショップの管理運営、地域移動型短期滞在リサーチプロジェクト、地域の知を蓄積するためのデータベースづくりなど、「建てること」を超えた建築的知識の活用を行う。同組織では主として調査と編集を責任担当。2014年度より京都精華大学非常勤講師。寄稿書籍に『レム・コールハースは何を変えたのか』(2014)。


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