AMeeT
FEATURE

特集

KYOTO EXPERIMENT 公式プログラム
『エヴェレットゴーストラインズ』
不在のための演劇インタビュー 村川拓也

2014 09 26

KYOTO EXPERIMENT 2014の公式プログラムとして2014年10月2日(木)~5日(日)に上演される村川拓也の新作演劇作品『エヴェレットゴーストラインズ』。本インタビューは、同作で何を実験しようとしているのかという話題を軸にしながら、「常に他者とつくる」「カメラが勝手に自動で映してるような感覚」「不安を直視できるような時間をもってる演劇」など、村川の演劇の根底にある意識や感性の一端に触れる内容となっている。

聞き手:中本真生(UNGLOBAL STUDIO KYOTO、&ART編集長、映像芸術祭MOVINGディレクター、南三陸ドキュメンタリープロジェクトプロデューサー)

どこかから来て、どこかへ帰っていく

――今回上演する『エヴェレットゴーストラインズ』は、去年、KYOTO EXPERIMENTのオープンエントリー作品でやった『エヴェレットラインズ』(※1)を下敷きにした作品ということなんですけど、もともとなんで『エヴェレットラインズ』を作ろうと思ったんですか。 そもそも、自分の周りに役者がいないっていう状況があって。「役者がいない状態でどうやって作品作ろうかな」ということを考えてた時に「どんな人が来ても大丈夫な作品」っていうのをパッと思い付いたんです。最初はただの思い付きだったんだけど、稽古する中で、「その人が生きているか死んでいるかを知る為には、今その人が目の前にいないと判断できない」っていう当たり前のことに気付いて。それを確認したくて作品を作ったんです。

――はい。 あと、普通の演劇では、役者は楽屋から来て楽屋へ帰っていくし、舞台上からはけたとしても、はけたということの意味が作品の内部でしか成立しないんやけど、今回の作り方をすると、本当にどこかから来て、どこかへ帰っていく。それだけでもすごく演劇の観え方が変わるし、そこが前回やっておもしろいと思ったところですね。

――いきなり今回の作品のことから話が逸れるんですけど、村川さんは劇団をもっていないですし、固定メンバーとして役者が自分の周りにいないことって、いってみたら当たり前じゃないですか。村川さんはいつもアイデア面ですごく頼りにしてるパートナーがいない状態で作っているように見えますけど、個人でやることに特別な意味があるんですか。 もともと始めたときに一人やったから、そのまんまの流れで今もっていう感じかな。でも「劇団作りたくない」とか「一人でしかやりたくない」っていう強い意志があるわけではなくて。この辺は...う~ん、環境に任してるっていうところはあるけどね。だから劇団作るっていう環境があったら作ってたんかもしれんし、まあ今後作るかもしれんし。 あとドキュメンタリー映画を自分で撮ったり、好きで観たりしてたことも影響してるかな。ドキュメンタリーの現場にももちろんスタッフはいるけれど、撮影対象は自分の仲間じゃないわけやから。常に他者と作っていくのがドキュメンタリーなんで、その影響もたぶんあると思いますね。
今の話で思い出したけど、去年なぜ『エヴェレットラインズ』でああいうことをしたのか、ということのもう一つの理由として、「ドキュメンタリー映画を撮るみたいな感覚で演劇をつくれないかな」というのはありました。ドキュメンタリー映画の現場で、こっちからお願いして取材させてもらう人っていうのは、その映画がうまくいこうがいかなかろうがどっちでもいいわけよ。取材には協力してくれるけども、ただそれだけでさ。僕はそういう関係性をいいと思っていて。ただ、通常演劇っていうのは俳優もスタッフも全員がゴールに向かって協力して進んでいくわけでしょ。その作り方じゃない作り方を探してたのかもしれない。ドキュメンタリー映画を撮るように...「その人にとって作品がどうなろうがどうでもいいんやけど、協力はしてくれてる」っていう状態のまま演劇作品が成立しないか、ということを考えてた。

――劇団を作って、その中でひとつのものを作り上げていくっていうコミニュケーションの取り方にあんまり興味がないのかな、という印象をもってたんですけど。 興味がないってことはないけどね(笑)。興味がないとかいったら俺一生誰ともできへんから(笑)。劇団作ったり固定したメンバーでやるとしても、常に他者でいられるような人とやるんだろうなということはある。

――その...でも作品としてアウトプットされるのは村川さんがおもしろいと思うものじゃないですか...。最終的にその作品がおもしろいかどうかっていうことにそんなにこだわらない人じゃないとやりにくいですよね。いちいち「僕はこれは違うと思う」ということが起こると面倒じゃないですか。 うん、でも俺はどっちかというとそっちの方がおもしろいと思っていて、それに巻き込まれていくっていうか、引っ張られていくこと...それって、もうまさにドキュメンタリー映画の現場なわけよ。

――ああ、なるほど。 まあ、でもね。ひょっとしたら固定メンバーでがっつり一緒に作っていくということもやるかもしれないですけどね。ただ今回の作品はそういうタイプの作品じゃないし、これまでの僕の作品を俯瞰してみると、常に他者とつくるということを重要視してきたんやろうなということは思う。

※1)KYOTO EXPERIMENT 2013において、フリンジ企画オープンエントリー作品として、アトリエ劇研にて上演された。村川が上演の数週間前に特定多数の出演者(候補)に、会場を訪れる時間、会場での行動が指された手紙を出し、出演者(候補)は、その指示に従って行動する。ただし、各出演者(候補)が指示どおりに劇場へ現れるかは当人次第、という不確定性を取り入れた演劇作品。


村川拓也 MURAKAWA Takuya

村川拓也 MURAKAWA Takuya

演出家・映像作家。1982 年生まれ。2005 年、京都造形芸術大学卒業。2009 年まで、地点に演出助手として所属。独立後は演出家として活動を開始し、ドキュメンタリーやフィールドワークの手法を用いた作品を様々な分野で発表している。主な作品に『移動演劇 宮本常一への旅 地球4周分の歌』 ( 2010、引用文献:宮本常一 ) 、『ツァイトゲーバー』 (2011、2012、 F/T11 公募プログラム、大阪市立芸術創造館 ) 、ドキュメンタリー映画『沖へ』 (2012)、AAF リージョナル・シアター2013『羅生門』(2013)、『エヴェレットラインズ』(2013)など。『ツァイトゲーバー』は各地で再演され、2014 年5 月にはHAUHebbel am Ufer(ベルリン)の「Japan Syndrome Art and Politics after Fukushima」にて上演された。

村川拓也 『エヴェレットゴーストラインズ』公演情報
http://kyoto-ex.jp/2014/program/murakawa/

村川拓也 公式サイト
http://murakawatakuya.blogspot.jp/

村川拓也 AMeeT 寄稿コラム
「南三陸町ドキュメンタリープロジェクト」
http://www.ameet.jp/column/
column_20120229-3/


PAGE TOP