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FEATURE

特集

PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015
『パラ人』インタビュー 吉岡洋

2014 04 01

3. 〈特集〉座談会

(浅見)
フリーペーパーというところに落ち着いたのは、PARASOPHIAという名前の布教活動というよりも、もっと自分たちで深めていこうというイメージがあるからかなと思います。座談会というのはそういう意味でもありますよね。
(吉岡)
そうです。座談会にしようというのは思いつきなんだけど、それまでもみんなで集まっていろんな話をしていたんですよ。でも途中から、ぼくや事務局がいる編集会議とは別に、学生だけでやるミーティングが進んでいった。そこでなんとなく固まっていったことは、PARASOPHIAとは何かということについて、「人はそれぞれ同じものについても見方が違う」というような共通理解だった。でもぼくはそれを聞いて、「同じものでも見方は人それぞれ」って、そんなの当たり前じゃないと思ったわけ(笑)。その考えが間違っているということではなくて、そういうゆるいコンセプトだと何でも入ってしまう。コンセプトというのは、もうちょっと強いパワーをもった言葉に置き換えて理解しておかないと、先に進めないというか、拡散してしまうという感じがしたんですよね。
それで、じゃあPARASOPHIAってなんだろうということを考えたときに、ぼくにはある程度こういうことだという漠然とした理解はあるんだけど、別にそれを一方的に押し付けるつもりもない。じゃあもう一回出発点に戻って、PARASOPHIAをどう理解するかということを根本から話し合いましょう、ということになった。そしてその議論を載せたらいいんじゃないかと思ったんですね。「PARASOPHIAとはなんなんだろう?」とみんなで話し合ってるということを出版物のボディ(特集)にする。すると当然字ばっかりになるし、オシャレじゃないし、軽い感じの普通のフリーペーパーっぽくはならない。しかも編集部の中で悩んでるっていうことを載せるなんて、そんなの誰が読むんですか? って言われた(笑)。

(尹)
言ってましたね(笑)。
(吉岡)
それはわかるんだけども、でもぼくはたとえ、ぼくと学生たちがしゃべっていることでも、その内容が普遍的なことというか、誰でも仕事や人生の中でぶつかるような問題に触れてたら、心ある人は読むって思ったんです。このペーパーは売り物ではないし、事業の宣伝のために出すのでもありません。だからといって何をつくってもいいという意味ではなくて、意味のあることならこういう思い切ったことをやっても構わないとぼくは理解していて、そうすることが結果的には PARASOPHIA につながると思っています。

(浅見)
第1号では「PARASOPHIAについて考える」という座談会になりました。紙面ではそれは直接的な言葉に表れてなくても、そういう場そのものであったり、そこで言葉や考える対象をなんとなく選んだりすることで、PARASOPHIAというものが全体としてぼんやり浮かんでくるような内容かなと思うんですよね。では、その次の第2号でテーマが生じてきたときにどういう展開にするんでしょうか?
(吉岡)
テーマは内容全体を縛るものではなくて、最初の入り口——PARASOPHIAもそうだと思うんだけど。別に何について考えたって何について話してもいいんだけど、最初のとっかかりというか、そこから切り込んでいくきっかけとしてテーマというものがあると思うんです。例えば雑誌のテーマは、だいたい大きな商業雑誌の場合は、トレンド的なものとか、そのときに話題になってるものとかそういうものが多いじゃないですか。この『パラ人』に関しては、そういうのに関わる必要はないので、トレンディーなものではなくていい。
例えば今提案されている「化粧」という次号のテーマは、そういうレベルのものですよね。つまり人間にとって普遍的に重要なものだけど、あまり普段表立って、化粧とは何かとか考えないよね。化粧の仕方は特集されるけども。化粧とはそもそもなんなのかということとかは、あまり取り上げられない。そういうところから入っていくつもりです。その意味で第1号の PARASOPHIAと一緒ですね。このあいだの座談会でも、PARASOPHIAとはこうだとか、別にぼくが上から定義しようとしているんじゃなくて、いろんなことを考えていると、「あ、これもPARASOPHIAだ」とか、学校という文脈でPARASOPHIAと言ったら何かとか、そういう言い方で、文脈化していくということをやったでしょ。だから化粧だって、別にいわゆる女の人がする化粧だけじゃなくて、化粧的なものとか、そういうふうに別の話題の中にそれを移植して文脈化していくということ。そういうやり方で話ができたらおもしろいと思う。だから「なんで化粧?」って言われると、ぼくもよく分からない(笑)。

(尹)
今の先生の話を聞いていると、やっぱり具体的なテーマより人間の普遍的なテーマに興味をもっていらっしゃるのではないかと思います。でも、例えば化粧というテーマを人間の普遍的なものだと思ってないメンバーもいると思います。去年まではライトな感じを出したいという人もいたし、イメージ中心の流行りのメイクの写真とかを載せたいという意見もあったと思います。
(吉岡)
そういうのは、ここでやらなくてもいいんですよ。別な媒体で自分たちの好きなようにやったらいい。ただ『パラ人』はそういうものではない。かといって別に重々しいものをやろうとしているんじゃなくて、ライトでもいいんだけど、ただ既にありがちなものはやってもしょうがない。ある程度やり方がわかっていて、こうして作業を進めれば行き着くことが見えているようなものは、ここではやっても意味がない。別に「化粧」というテーマを設定するのはいいけど、既存の週刊誌やペーパーの真似をして、ライトな感じとかオシャレなものとか、ちょっと見栄えがするような紙面を作るというのは、ある程度先が見えてるじゃないですか。作った経験のある人や、どうやったらいいか知ってる人がいれば、できます。そういうのを作るのが悪いわけではないけど、ここではやらない。それが他のフリーペーパーと違うところ。


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