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FEATURE

特集

PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015
『パラ人』インタビュー 吉岡洋

2014 04 01

5. 『パラ人』は生き残る

(浅見)
『パラ人』は「これを読めばPARASOPHIAを10倍、100倍楽しめる!」というようなペーパーではもちろんないと思うんです。でも、そういうものでもないということをPARASOPHIAも『パラ人』もまだ知らない人にどう説明するんでしょうか。
(吉岡)
PARASOPHIAが開催される2015年春に発行する第5号は、一応プログラムみたいになる予定なんです。そのときにはどんな作品が招待されるか決まってるので、その作品についての情報を載せることになると思う。でもそれはぼくらが全部書くんじゃなくて、原稿をもらって構成することになると思うんだけど。じゃあ、それ以前の今つくろうとしている『パラ人』はPARASOPHIAを見るのに役に立たないかというと、そんなことはないと思うんですよね。美術の話も出てくるでしょ。美術を観るというのは一般の人にとってどういう意味があるのかとか、そういう話もしている。その部分というのは普通、解説書には出てこないわけだから。直接役に立つ解説書じゃないというところが、意味があるんですよね。解説書になる必要はないし、PARASOPHIAの出品作品に言及する必要もない。

(浅見)
『パラ人』は全国に配布しますが、読者の人にこう読んで欲しいというような、読み方は想定したりしましたか?
(吉岡)
別に読み方なんてないよ(笑)。ぼくは面白いと思うんだけどな、今の内容。あんまりこういうことって、ちゃんと言葉にして出てないと思うので、戸惑う人はいるかもしれない。あと、やっぱりみんな字読まないから(苦笑)。これは結構読み物として濃いので、全ての人が「素晴らしい!おもしろかった!」とか言うようなものではないことは確かです。

(尹)
戸惑う人は何に戸惑うのですか?
(吉岡)
自分が予測しているものに当てはまらないから。フリーペーパーとか雑誌の記事の感じに、みんな慣れている。そこからするとこの『パラ人』って、どういう系統のもの? どういうジャンルのもの? そうした既存のカテゴリのどれにも当てはまらないから、そこで戸惑うと思います。
(大久保)
素晴らしい。
(吉岡)
まだ1号も出てないので、これがうまくいくかどうかはわからない。ぼくは、うまくいくっていうのはみんなに拍手喝采されたり、そういうことではないと思ってるんです。たぶんこれは出た時に「うわー!」という感じにはならない。だけど「じわっ」といくと思うね。じわっといって、たぶんこの第1回目のPARASOPHIAが来年終了しても、その後も『パラ人』は残り続けるものだと思うんですよ。耐用年数が長いものを目指しています。この間も、自分で編集しながら内容を読んで、これはテキストとして絶対に残るものだって思ったんです。そのときの情報で終わってしまうことはありえない。そういうものを目指している。

(尹)
残るというのは具体的にどういうことでしょうか?
(吉岡)
こういう美術展をやったり、ボランティアとか学生と一緒にこういった事業に関わるといったときに、そういう機会というのは別にPARASOPHIAだけじゃなく、いろんなところでこれからも起こることじゃない? だからそういうことを将来やろうとする人とか、あるいは既にやって成功したり失敗したりした人が『パラ人』の議論をみると、考えるきっかけになるはずなんです。それはぼくがいいこと言ってるからじゃなくて、われわれ全員が議論している状況が大切なんです。最初だから特にぼくばっかりしゃべってるみたいにみえますが、形のうえではそう見えても、ぼくは一人であんなことはしゃべらないでしょ? いろんな学生がそこにいて、顔を見ながら、ちょっと不満そうな顔してたり、いろんな表情を見ながら話しているので出てくる言葉であって、決して一回も発言してない人は何も協力してないということではないですよ。その人がそこにいるということがすごく大事で、その場にいるからぼくがそういう話をしてしまうのね。まだ君ら二人も半信半疑だと思うんだけどね、「本当にそんなんでいいのか?」みたいな(笑)。

(尹)
え。半信半疑でいいじゃないですか。
(吉岡)
うん、いい(笑)。

(浅見)
「残る」っていうのは印象的です。例えばPARASOPHIAの第1回が終わって、次回が開催されるのか、されないのか微妙になったとき、『パラ人』はまだなお動き続けていますか?
(吉岡)
それは見えないというか、どうなんだろう。つまりPARASOPHIAが成功し、『パラ人』もある程度評価されて、じゃあこれから定期的に出してくださいよ、みたいなことでお金がつくというのは、それはそれでもちろんありがたいことだけど、たとえお金がつかなくても、何らかの形で存続する可能性はあるんですよ。だからこれから1年間出て、その後も続くっていうのが一番いいかな。何らかの形で、形を変えて続ける。一番安定するのはどっか出版社が買い取ってくれることだけど、そうすると今度は内容が自由にできないようになる。

(浅見)
可能性としてPARASOPHIAではなく『パラ人』の方がZINEとは違う動き方をしていくということはありえますよね。
(吉岡)
ありえると思うよ、極端に言うと。PARASOPHIAはきっと成功すると思うけど、万一コケても『パラ人』は生き残る(笑)。それぐらいの気概でやった方がいい。

(浅見)
では最後に、『パラ人』における成功とは何ですか?
(吉岡)
究極的に目指すところは、長く残るということ。時代状況を超えて残る。何十年も先の人が見つけて読んでくれる。これが究極的な目標。もうちょっと短期的な目標としては、もちろんすぐに反応があるのも嬉しいです。文化の価値は数の問題じゃないということは座談会でも話題に出てきたけど、反応があるというのも単純な数の問題ではなくて、本気で反応してくれる人が少数いるということが重要だと思います。
(取材・撮影:2014年3月15日 PARASOPHIA事務局にて)

『パラ人』no. 001

発行日 2014年4月4日
パラ集長 吉岡洋
パラ人達 浅見旬、榎本悠人、上村優、倉部一星、古俣皓隆、清水明日香、角千波、髙橋奈々、根津歩、野海智子、橋本柚香、橋本よしの、蓮田真優美、真壁悠、元行まみ、山羊昇、安田七海、尹志慧、好光義也、渡邊拓也
デザイン 浅見旬
デザイン
アドバイス
村尾雄太
写真 柳瀬安里
発行 京都国際現代芸術祭組織委員会 ISSN 2188-5435

PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015

会期 2015年3月7日(土)–5月10日(日)
会場 京都市美術館、京都府京都文化博物館ほか府・市関連施設など
アーティスティック
ディレクター
河本信治(元・京都国立近代美術館学芸課長)
主催 京都国際現代芸術祭組織委員会、一般社団法人京都経済同友会、京都府、京都市
助成 一般財団法人ニッシャ印刷文化振興財団
協力 京都工芸繊維大学、京都嵯峨芸術大学、京都市立芸術大学、京都精華大学、
京都造形芸術大学、成安造形大学
後援 国際交流基金
認定 公益社団法人企業メセナ協議会
WEB
サイト
http://www.parasophia.jp/

パラ人達 PARAZINE Members

パラ人達  PARAZINE Members

PARASOPHIAに興味をもち、吉岡編集長が提案したフリーペーパーの制作をやってみたいと思ったメンバーの集まり。主に京都の学生や院生だが、中にはいつの間にかいろんな人が混ざり込んでいる。2013年7月より始動し、減ったり増えたりしながら、2014年3月現在、20名。

ホームページ(PARASOPHIA)
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