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FEATURE

特集

KYOTOGRAPHIEにおける〈まなざし〉の諸相
京都グラフィー レビュー 寄稿:林田新

2013 04 29

京都グラフィーは2013年4月13日~5月6日、京都市内で開催される国際写真フェスティバル。本イベントのレビューを視覚文化論、写真史/写真論を専門とする林田新氏に寄稿していただいた。

寄稿:林田 新(京都造形芸術大学/関西大学/京都精華大学非常勤講師)

多くの観光客が足を運ぶ新緑の京都にて、国際写真フェスティバル、KYOTOGRAPHIE が開催されている。全12箇所のメイン会場には、いわゆる「作品」としての写真のみならず、ファッション写真や、人類学的関心に基づき撮影された写真、あるいは東日本大震災の被災地を撮影した写真、さらには、明治期の日本を撮影した写真や、マリの若者を写したポートレートなど、国内外の多様な写真が展示されていた。さらに、30箇所以上のサテライト会場には、約50組以上のアーティストによる写真を用いた作品が展示されている。

アートの中の一領域として写真を扱うというよりはむしろ、より多様な写真の諸相に目を向けようとするこの国際写真フェスティバルには、しかし、全体を統御するような明確なテーマが設けられているわけではない。ウェブ・サイトに掲載された趣旨文によると、このイベントは、「文化都市京都と写真芸術の融合を図ると同時に、京都の伝統工芸とのコラボレーションにより写真芸術が生活により深く浸透することを目指す」ものであるという。この文章、ならびにKYOTOGRAPHIEというイベント名が端的に示すように、本フェスティバルが企図しているのは、単に写真の多様な発展を観客に提示することのみならず、それを京都という都市との繋がりにおいて展開していくことであると言えるだろう。こうした緩やかなテーマのみがかろうじて設けられたKYOTOGRAPHIEを論じるにあたり、以下では全体を網羅的に紹介するのではなく、ある一つの論点に沿って議論を展開して行きたい。まずはKYOTOGRAPHIEという言葉にもう少しこだわってみよう。


林田 新 HAYASHIDA Arata

林田 新 HAYASHIDA Arata

関西大学、京都精華大学などで非常勤講師。専門は視覚文化論、写真史/写真論。現在は報道写真をめぐる理念と実践に着目し研究を行っている。主な論文に、「星座と星雲――「名取=東松論争」に見る「報道写真」の諸相――」(『映像学』第84号、日本映像学会、2010年)、「写真を見ることの涯に――中平卓馬論」(『写真空間』第4号、青弓社、2010年)など。共訳論文にサンドラ・S・フィリップス「森山大道 ストレイ・ドッグ」(『森山大道 オン・ザ・ロード』月曜社、2011年)。

林田 新 WEBサイト
http://www.arata-h.com/


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