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FEATURE

特集

HAPS(東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス)
インタビュー 遠藤水城、芦立さやか(HAPS)

2012 06 12

京都市が2007年に制定した、文化政策のマスタープラン"京都文化芸術都市創生条例"。本条例内において計画された"若手芸術家等の居住・制作・発表の場づくり"事業を推進するために、若い芸術家の総合サポート窓口として、各分野の専門家で構成されるHAPSが設立された。今回はHAPSの遠藤水城さん、芦立さやかさんにその活動領域や内容について、さらにはミッションとして掲げる「社会全体の豊かさ」と芸術との関係性についてお話を伺った。

聞き手:中本真生(&ART企画・編集・広報担当、アーティスト) 撮影:表恒匡

遠藤水城、芦立さやか

HAPSがオフィスを構える六原学区内にて撮影

1. HAPSとは

――HAPSの事業概要を教えてくだい。 (芦立)
京都市は2006年に「これから京都の文化をどうしていくか」という指針を定めるため"京都文化芸術都市創生条例"を設けました。条例の中では"若手芸術家等の居住・制作・発表の場づくり"事業が計画されています。その事業を推進するために、2009年から遠藤さんを中心に「どうすればもっと若手芸術家が京都に住みたくなるような土壌を作れるのか」ということについてのリサーチを開始しました。その結果、アーティストに制作の姿勢を高めてもらうきっかけを作るためには相談窓口が必要だと判断し、HAPSを開設しました。
HAPSでは「アーティスト活動をする中で出てくる居住や制作に関する問題」や「アーティストとして作品を発表していくうえで何をすべきかといった悩み事」に対する相談を、WEBとオフィスで受け付けています。それらの悩みを解決していくために、アーティストとキュレーターの出会いの場を作ったり、座談会の場を設けたり、ワークショップを行ったりと様々な提案をしていきます。
また、HAPSがオフィスを構える東山のあたりは空き家がとても多いのですが、その中には老朽化して不動産業者では扱えないような物件も少なくありません。そういった物件を、建物の補修ができるアーティストに紹介して安く譲ってもらうといったマッチングも、追々着手していく予定です。
その他にも"WEBサイトの充実"に関しては重点的に取り組んでいます。京都市内では毎日多くの展覧会が開催されていますし、貸画廊やカフェギャラリーなど、アーティストが作品を展示できるスペースがたくさんあるので、そういったものを紹介していく予定です。同時に美術批評やインタビューを掲載するコンテンツも随時制作していきます。

――例えばある程度知名度を持ったアーティストでも、美大の1回生でも、仕事をしながら2年に1回くらいのペースで貸画廊で個展をしているような人でも、相談できるのでしょうか。 (芦立)
基本的には若手芸術家に向けた事業なので「自分が若手芸術家である」と思うならばどんどん相談していただきたいです。年齢制限は特に設けていないので、50代の方に「どうしてもこういうことがやりたい」ということを相談していただくことももちろん可能です。ただし、学生に向けたサービスは今のところは考えていません。もともとこの事業は「京都にたくさん芸大、美大があるにも関わらず、卒業すると地元に戻ってしまったり、情報の集まる東京や海外に行ってしまい、京都にあまりアーティストが残らない」という現状を受けて始まった背景があります。
京都市としては「京都にたくさんアーティストが残って発信してほしい、京都で成長していってほしい」ということを望んでいます。そのため、"卒業後どうしたらいいかわからなくて迷っている人たち"が主な対象になっているのです。

――HAPSには事務局内の実働メンバー、実行委員、アドバイザーという、主に3つの立ち位置で事業に関わっている方々がいますが、実際にはどのような組織体制になっているのでしょうか。 (芦立)
まず京都市から委託を受け、実行委員会が事業を遂行します。決定した予算を使用して、事務局が実際に相談窓口やWEBサイトの運営を行います。事務局は現在3人ですが、何人かのサポートスタッフの方々にもお越しいただいています。今後オフィスを拡大していけば、さらに色々な立場の方を招くことが可能ではないかと考えています。

京都文化芸術都市創生条例

遠藤水城 ENDO Mizuki (HAPS)

遠藤水城 ENDO Mizuki

インディペンデント・キュレーター。 2004年、九州大学比較社会文化研究学府博士後期課程満期退学。art space tetra(2004/福岡)、Future Prospects Art Space(2005/マニラ)、遊戯室(2007/水戸)などのアートスペースの設立に携わる。 2004-05年、日本財団APIフェローとしてフィリピンおよびインドネシアに滞在。05年、若手キュレーターに贈られる国際賞「Lorenzo Bonaldi Art Prize」を受賞。「Singapore Biennale 2006」ネットワーキング・キュレーター。2007年、Asian Cultural Councilフェローとして米国に滞在。同年より2010年までARCUS Projectディレクターを務める。2009年、「福岡アジア美術トリエンナーレ」協力キュレーター。「ヨコハマ国際映像祭2009」キュレーター。2011年、「曽根裕展:Perfect Moment」(東京オペラシティアートギャラリー)ゲストキュレーター。2009年よりHAPSの企画準備に携わる。

HAPS 公式WEBサイト
http://haps-kyoto.com/


芦立さやか ASHIDATE Sayaka (HAPS)

芦立さやか ASHIDATE Sayaka

1982年北海道生まれ。2005年武蔵野美術大学芸術文化学科卒業。 卒業後、BankART1929(横浜)で勤務し、同時期に吉田有里と共にYOSHIDATE HOUSE(横浜)をオープンし、同世代作家の展覧会などを企画。BankART退職後、様々なプロジェクトで展覧会制作やアーティストのコーディネート等に関わる。2010年9月よりNYに拠点を持つアーティスト・イン・レジデンスのコーディネートを行うNPO、Residency Unlimitedでインターンとして関わりながら、ニューヨークのNPOの現状や運営の仕方、また新たなレジデンス・プログラムの動きなどを現場を通じて1年間学ぶ。帰国後、京都に居を移し、現職。

HAPS 公式WEBサイト
http://haps-kyoto.com/


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