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世界から注目される京都のゲーム会社
Q-Games インタビュー [前半] (英訳収録)

2011 11 30
ピクセルジャンクシリーズ

2. ピクセルジャンクシリーズ

――自社パブリッシュしているピクセルジャンクシリーズのコンセプトをお聞かせください。 (ディラン)
初めてPS3をHDMIケーブル(※2)で液晶テレビに繋いだ時、グラフィックのくっきり感に驚きました。大きな液晶テレビで見た時に、ピクセル一つひとつまで細やかに見えて、「高精細度(以下HD)を目指したゲームが作りたい」と思うようになりました。それがそのままコンセプトになっています。これまでのピクセルジャンクシリーズはすべて2Dですが、3DでHDは目指せないんです。一色のポリゴンでは解像度の高さは活きてこないし、ポリゴンにテクスチュアを貼っても、テクスチュアが伸縮してしまう。こういった経緯から「80年代や、90年代初期に流行っていた2DゲームのようなエッセンスをHDの世代にもって来る」というコンセプトが出来上がり、それが全てのベースになりました。初めにコンセプト・アート(※3)やアイデアをアーティストに出してもらったのですが、その時に出した約20のアイデアの中にはすでに『PixelJunk™ レーサーズ』『PixelJunk™ モンスターズ』『PixelJunk™ シューター』の原型となるようなものがありました。
(富永)
自社パブリッシュだと売り方も大きな問題になりますが、PS3には標準でネットワーク配信サービスがあります。それを利用すればワールドワイドにリリースできるだろうと考えました。

――他社のタイトルと比べて価格が安いですが、最初からうまく利益を上げられていたのでしょうか。 (ディラン)
開発費用をすべて負担していますし、リリースしてからお金が入って来るには3、4カ月かかりますから、黒字になるまでには時間がかかりました。ただ、配信という販売形態なので店頭が在庫を抱える必要がありません。過去にリリースしたゲームが今でも購入可能なので、長いスパンで売れ続けて現在では黒字になっています。しかも開発費自体が高くないので、大きなリスクを追っているわけではありません。ピクセルジャンクシリーズの開発を始めたタイミングと、配信でゲームがリリースできるようになったタイミングが重なったことが良かったですね。
(富永)
またピクセルジャンクはシリーズなので、ユーザーに「このタイトルが気に入ったから、他のタイトルもやってみようかな」と思っていただけることが多いようです。そういう広がりがうまく機能しているという実感はあります。
(ディラン)
1タイトルずつバラバラの名前をつけると、同じゲーム会社が作ったということがイメージしにくいですよね。ゲームをやり終えて「楽しかった」と感じた人に、次のリリースまで覚えておいてほしい。そういったことは最初から意識していました。

――シリーズものは通常ジャンルを引き継いでいくわけですが、ピクセルジャンクはジャンルが様々ですね。「同じジャンルのゲームではないけれど、ピクセルジャンクだからやってみよう」という傾向は興味深いですね。 (ディラン)
ゲームのジャンルは違っても、ユーザーが認めているクオリティー、エッセンスは維持する。それを守りながら作ればファンは増えると信じていました。それがうまくいっていることは嬉しいですね。ちょうど昨日ミュージシャンのTrent Reznorが、Twitterで「僕の大好きなQ-Gamesがまたゲームを出しました」という主意のツイートを100万人のフォロワーに流してくれました。彼のようにアーティスト気質でインディペンデントな考え方を持ったクリエイターが、ピクセルジャンクのファンであることは本当に嬉しいです。

――Otograph、Baiyon、High Frequency Bandwidthとコラボレーション行うなど、シリーズを通してアーティスティックな感性に基づいて制作している印象を受けます。特に音楽においてクリエイティブなセンスを積極的に取り入れているように感じます。 (ディラン)
やはり音楽は大事ですね。1作目の『PixelJunk™ レーサーズ』のみ制作期間が短かったせいもあって、オリジナルの楽曲を制作することができませんでした。何万曲もある音楽のカタログを見ながら選曲したのですが、少し音楽のオリジナリティーが足りなかったように感じています。
(富永)
そういったこともあって、次に制作した『PixelJunk™ モンスターズ』では京都の音響/映像ユニットOtographにゲーム音楽を担当してもらいました。

PixelJunk™ Monsters trailer

Otograph

Otograph photo by OMOTE Nobutada

(ディラン)
Otographはそれまでゲーム音楽の制作を経験していませんでしたし、彼らの音楽をこのゲームにそのまま使用するにはビートが強すぎたので、初めに色々な相談をしました。最終的に効果音もすべて制作してもらいました。次に制作した『PixelJunk™ Eden』は京都を拠点に活動するアーティストBaiyonのグラフィックから着想を得て制作しています。その時Q-Gamesにいたインターンに、Baiyonの描いたグラフィックを動かすプログラムの実装にチャレンジしてもらったことが制作のきっかけです。植物の動きがおもしろかったので、「どういうゲームにしよう」という具体的な話にまで展開しました。
(富永)
『PixelJunk™ Eden』は当初キャラクターが登場しないリズムゲームになる予定でした。しかし試作してみたらピクセルジャンクらしさがない。見た目はきれいだけれど、リズムゲームは8bitゲームのイメージじゃないからコンセプトに合わなかったんです。それから再考して現在のような形に落ち着きました。一度試作を作ってみて、僕たち自身もピクセルジャンクシリーズのコンセプトをよりクリアに認識できたことは有意義でした。

PixelJunk™ Eden trailer (Japan)

Baiyon

Baiyon

※2)HDMI=High-Definition Multimedia Interface。高精細度マルチメディアインターフェース。映像・音声をデジタル信号で伝送する通信インタフェースの標準規格。音質、画質とも理論的には劣化しない。

※3)制作過程で作品の方向性を決めるために生みだされた、アイデア/デザイン/雰囲気などを伝えるためのスケッチ。

ディラン・カスバート
富永彰一
ディラン・カスバート 富永彰一

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