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世界から注目される京都のゲーム会社
Q-Games インタビュー [前半] (英訳収録)

2011 11 30

3. 流体シミュレーション

――『PixelJunk™ シューター』、『PixelJunk™ シューター2』、『PixelJunk™ サイドスクローラー』で実装されている“流体シミュレーション”技術について伺います。この技術を開発することとなった経緯を教えてください。 (ディラン)
技術を研究することが好きな京都大学の学生インターンに、「ゲーム制作のために液体のシミュレーションが作りたいんだけれど、どこまで効率よくフレキシブに作れるのかチャレンジしてほしい」というテーマを与えたことがきっかけです。始めに基礎的な流体シミュレーションが完成したのですが、それが今までのゲームにはあまりないアイデアだったので、「どのようにゲームに導入するのか」というところから考え始めました。それからさらに技術研究して流体の種類を増やしました。水とマグマだけでなく、氷、ガスなどの表現にも流体のシステムを使っています。

流体シミュレーション
流体シミュレーション

――技術的にはどのように実現しているのでしょうか。 (ディラン)
PS3に搭載されている、シンプルなベクトル演算を高速で計算できるチップ“SPU”により実現しています。PS3はSPUを7個搭載していて、その内の6個まで使用できます。例えばPCでも最新のビデオカードを使えば、似たようなシステムは作れるかもしれませんがPS3の方が実装しやすいです。
(富永)
『PixelJunk™ Eden』まではSPUを1つしか使用していませんでしたが、『PixelJunk™ シューター』からは最大限に活用し始めました。一般的な3Dゲームであっても、ここまでSPUを活用しているゲームは少ないですね。

PixelJunk™ Shooter trailer (Japan)

――PS3が他のハードと比べて優れている点を、最大限に活かしてゲームを制作しているんですね。 (ディラン)
Q-Gamesの技術研究チームは、リリース前からPS3に関わっています。そのノウハウを活かして最先端技術に挑戦しています。
(富永)
またピクセルジャンクシリーズではシリーズ通して、フレームレートを1秒間60フレームにすることにもこだわっています。その条件で流体シミュレーションが動くことはかなりすごいかなと。
(ディラン)
流体シミュレーションでは1フレームに30,000個くらいのパーティクル(球体)が動いています。そのパーティクルには「他の液体と混ざると違う液体になる」といったプログラム情報が入っています。

――細かい粒子に仮想で質量、重力などを与え、流体しているように見せているということですよね。力学はゲーム制作とは領域が異なる印象があるのですが、どういったメソッドで取り入れたのでしょうか。 (ディラン)
ゲームのための計算なので、そこまで完璧にする必要はありません。必要性に合わせてアルゴリズムを作るイメージです。流体シミュレーションのためにどのようなアルゴリズムを使用したかという情報は、SIGGRAPH(※4)のウェブサイトに掲載されています。
(富永)
逆に『PixelJunk™ Eden』では、SIGGRAPHで発表された技術を応用している部分があります。
(ディラン)
SIGGRAPHで他の誰かが公開したDepth of Field(被写界深度)の技術に関するペーパーを読んだ時におもしろそうだと思い、植物のエッジをスムージングするためにその技術を応用しました。ペーパーに書かれている理論は、誰にでも理解できるものではありませんがQ-Gamesにはそれを読めて、さらに実装できるスタッフが数人います。ペーパーは読むだけでも大変なものが多いですが、実装することができれば色々なことに応用できます。

※4)SIGGRAPH=Special Interest Group on Computer GRAPHics。コンピュータグラフィックスを扱う分科会。また同分科会が主催する国際的なコンピューターグラフィックスの発表会/展示会/会議。Pixar Animation Studiosが最初に制作した短編CG『Luxo Jr.』の公開もSIGGRAPHで行われた。
SIGGRAPH WEBSITE http://www.siggraph.org/

ディラン・カスバート 富永彰一
ディラン・カスバート 富永彰一
ディラン・カスバート

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