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FEATURE

特集

パフォーミング・アーツ・カンパニー dots
新作公演『カカメ』

2010 09 01

京都を拠点とし、身体、映像、空間を自在に結びつける独自の視点で注目を集めてきたパフォーミング・アーツ・カンパニーdots(※1)。新作公演となる『カカメ』は、昨年京都北山の"陶板名画の庭" に設置された屋外ステージで上演され、話題となった『KISS』とは対照的となる本格的な劇場作品。dotsのさらなる飛躍を予感させる新作公演『カカメ』について、同ユニットの主催者であり、構成・演出を担当する桑折現さんにインタビューを行った。

生きている感覚に、ダイレクトに響くような作品を作りたい
dots 桑折現(構成・演出)インタビュー

聞き手:中本真生(&ART企画・編集・広報担当、アーティスト)

カカメ

開催の経緯

――dotsの活動についてお聞かせください。 dotsは舞台芸術というジャンルで活動している、パフォーミング・アーツ・カンパニーです。一言で舞台芸術といっても、ジャンル内でさらに細分化されており、一般に広く認知されている演劇やダンスから、アートパフォーマンスまで様々なのですが、dotsは舞台芸術そのものを根本的に捉え直し、その表現の可能性を模索していきたいと考えています。dotsというカンパニー名は、「点が集まっている」という意味なので、制作のうえではその名が示す通り、「独立したアーティストが集まって、一つの作品を作りあげていく」というようなイメージをもっています。

――今回滋賀の栗東芸術文化会館さきら(以下、さきら)と、神奈川の川崎市アートセンターで新作パフォーマンス公演『カカメ』を上演されます。開催することになった経緯を教えてください。 これまでにも伊丹のAI・HALL(兵庫)など、劇場で作品を発表したことはあったのですが、ある時期から現代美術の企画やクラブ、屋外ステージなど、劇場以外の場所で公演を行うことが多かったんです。今回作品を上演する2つの劇場は、クラシックなスタイルのプロセニアム型(※2)の劇場なのですが、「これまで培ってきた技術と経験で、もう一度劇場で作品を作ってみたい」と考えたことはきっかけとしてありますね。さきらのプロデューサーとは2年程前から、「さきらで何かできないか」ということを相談していて、それが今回具体的な話となり、さきらで初演を行うことになったんです。またdotsは2004年に一度東京公演を行っているのですが、それ以後規模が大きい作品が多くなり、なかなか関東に作品をもっていくことができなかったんです。それが今回は、川崎アートセンターに受け入れていただいて、関東公演が実現しました。今回はどちらの公演も、dots単独のプロデュースではなく、劇場と共同主催となっていて、劇場と一緒に作品を作り、広報もすべて共同で行っています。劇場もdotsをおもしろいと思ってくれていて、dotsも2つの劇場にすごく魅力があると思って成立した公演なので、本当に理想的な関係で、制作ができていると思います。

うつつなれ

dots 『うつつなれ』 2003 AI・HALL(兵庫) photo by 岡本啓子/OKAMOTO Keiko

――劇場作品に取り組むのは久しぶりとのことですが、改めて劇場に向き合ってどのようなことを感じましたか。 舞台作品を発表するために設(しつら)えられているので、意図した空間が作りやすいですし、例えば機材面でも、野外公演ではすべて自分たちで準備しなければならなかったのが、「目の前にあって自由に使える」というのはとてもクリエイティブな環境です。ただ自由に作品が制作できる反面、何かとんでもない思いきったことをやろうと思うとそこには様々な制約があります。劇場という空間は観客にとって、とても集中しやすい空間として設計されています。なのでちょっとしたことでも、気になってしまうと思うので、そのあたりは繊細に取り組まなければと感じています。

※1)京都を拠点に活動しているパフォーミング・アーツ・カンパニー。2001年、桑折現を中心に結成され、身体、映像、テキスト、舞台美術、音、光などの舞台芸術に含まれる様々な要素を重層的に駆使し、独自の空間構成を構築するところから作品を制作している。AI・HALLとの共同製作をはじめ、劇場公演の他、岡山県・犬島の銅精錬所跡地での野外公演、ホテルの一室やビルの外壁を使った屋外パフォーマンスなども積極的に発表している。2009年、京都北山の"陶板名画の庭"に野外特設ステージを設置した『KISS』を上演。水とコンクリートが特徴である安藤忠雄建築の屋外美術館にて、巨大な滝を背景に個人と歴史の関係性をテーマした大規模な屋外パフォーマンスを行った。根源的な人間の「存在」を見つめようとするこれまでの作品は、完成度の高い視覚性、そして壮大なスケール感と共に、トータルなパフォーミング・アーツの可能性を切り拓きつつあると評価される。

※2)最も一般的な劇場スタイルとして認識されている劇場の様式。舞台と観客席が、プロセニアム・アーチ(額縁状の構造物)によってはっきり区切られている。


桑折 現 Kori Gen(構成・演出)

桑折 現

dots主宰。京都造形芸術大学映像・舞台芸術学科第一期卒業。卒業制作公演『10の地点』(03年.04年)で学長賞受賞。在学中にdotsを結成し、03年~06年度、AI・HALLとの共同製作事業『take a chance project』に選出される。dots以外での活動では、ASIA-EUROPE FOUNDATION主催『pointe to point』(05年)にて海外からのダンサー、振付家23名との作品制作や、国籍の異なる8人のパフォーミング・アーティストが集まり、3ヶ月かけてアジア4都市を巡回する滞在型プロジェクト『Chasing the whale』(06年)への参加がある。また、インスタレーション作品『水跡』の発表や「舞台芸術08-パフォーマンスの地政学-」への執筆などがある。

dots
http://dots.jp/

カカメ 特設サイト
http://dots.jp/kakame/

栗東芸術文化会館さきら
http://www.sakira-ritto.net/

川崎市アートセンター
http://kawasaki-ac.jp/

桑折 現

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