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特集

Kyoto Hall Catalogue β|Outside Kyoto City Edition 2016
京都ホールカタログβ版[京都市外編]

2016 05 02

多くの人にとって「公共建築」という言葉には、「公によって設置された建築物」というイメージがまず先にあるように思う。ただ、本来は施設の設置者や管理運営者が誰であろうと、自分たちに使うことができる施設を自分たちの資産としてより広く活用することが望ましいはず。一方で、ある地域においてそうした資産がどの程度存在しているのかという疑問に答えられる人はそう多くはないだろう。そこで今回は、上のような問題に対する第一歩として、京都にある「ホール」に着目し、「京都ホールカタログβ版|Kyoto Hall Catalogue β」なる地図をつくった。

寄稿: 榊原充大(RAD)

京都ホールカタログ[京都市外編]

1. 京都市内/市外の「ホール」を同じ基準で見る

前半[京都市内編]では京都市内の「ホール」を見ていった。後半では[京都市外編]として、京都府内における京都市外の「ホール」100件を見ていく。

前半はこちら。
「京都ホールカタログβ版[京都市内編]|Kyoto Hall Catalogue β Kyoto City Edition 2016」

まずは、ホールの定義と調査基準について説明する。今回は「ホール」という言葉を、「常設舞台がある、または舞台/演劇/音楽公演利用を想定してつくられた施設」と定義している。さらに、こうした定義における「ホール」の中でも、「他者」へ機会を開くという「公共性」を見るために、「条件が課される場合もあるが、貸出を想定しているホール」かつ「貸出している旨を告知しているホール」という調査基準を設けた(※1)。また、今回の調査であらゆる「ホール」を包括できるわけではなく、今後新たに発見されたり、新たに生まれたりなくなったりする施設も多くある。そして情報に追加すべき箇所や修正すべき箇所が見つかることもあるだろうことから、あくまでも試験版として後の改良を想定したものであることを示すために「β版」と明記した。なお、先に触れた「公共性」に関する本記事での考え方については前半の記事を参照していただきたい。

続いて後半において基本となる情報を確認しておきたい。京都府には人口約147万人の京都市の他に14の市、6の郡部がある。14市の人口計は約100万人で、うち最大が宇治市の約18万人、次が亀岡市、舞鶴市でともに8万人台となっている。6郡部の人口計は約13万人で、うち最大が相楽郡の4万人。相楽郡は4つの町からなっており、うち精華町の人口が3万人で最大だ(※2)。今回の[京都市外編]で対象とするのは、この「14の市と6の郡部」にある「ホール」ということになる。

舞台や演劇、また音楽公演などに利用される施設を紹介する既存の情報媒体の多くは、京都市内の施設を中心に紹介し、京都市外の施設を例外的に扱うことが多い(※3)。大人数を対象とした興行のために使われる施設が、京都市内に集中しているということがまずその理由としてある。また、絶対数として、京都駅から数時間かけて訪れる公民館のような「ホール」の情報を求める人は、市内の市民センターのような「ホール」の情報を求める人より必ずしも多くはない。一方で「京都ホールカタログβ版」では、あくまでも京都という地域を見なおすことを念頭においているため、京都市内という徒歩圏内の分布と、京都府という広大な範囲における分布とを同じ調査基準とアウトプットによって見ていく。

※1)今回の定義に入るけれども、今回の調査基準からは外れている「ホール」や、あるいは今回の定義にも調査基準にも入るものの筆者が見過ごしている「ホール」は、まだ多くあると思います。また情報の誤りが無いように努めましたが、お気付きの点ある際はぜひ直接筆者にご連絡をいただけたら幸いです。

※2)平成28年(2016年)3月現在。当該データは京都府ウェブサイト「京都府推計人口」から。
http://www.pref.kyoto.jp/tokei/monthly/suikeijinkou/suikeitop.html

※3)例えば今回参考にしたウェブサイト、『関西クラシック音楽情報』の「関西コンサートホールマップ」がその一例として挙げられる。
http://music-kansai.net/map/hallmap1.html


榊原 充大 Mitsuhiro Sakakibara

榊原 充大 Mitsuhiro Sakakibara

建築家/リサーチャー。1984年愛知県生まれ。2007年神戸大学文学部人文学科芸術学専修卒業。建築に関する取材執筆、物件活用提案、調査成果物やアーカイブシステムの構築など、編集を軸にした事業を行う。2008年には、より多くの人が日常的に都市や建築へ関わるチャンネルを増やすことをねらいとし、建築リサーチ組織RADを共同で開始。RADとして建築展覧会、町家改修ワークショップの管理運営、地域移動型短期滞在リサーチプロジェクト、地域の知を蓄積するためのデータベースづくりなど、「建てること」を超えた建築的知識の活用を行う。同組織では主として調査と編集を責任担当。2014年度より京都精華大学非常勤講師。寄稿書籍に『レム・コールハースは何を変えたのか』(2014)。


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