28, Nov 2011

ゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川開所式
(旧称 ドイツ文化センター京都)

開催日: 2011年10月26日
画像クレジット: Copyright : Andreas Schiekofer

左京区にあるドイツ文化センター京都が、アーティスト・イン・レジデンス<ゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川>としてリニューアルオープンした。今後、ドイツから招聘されたアーティストが3ヶ月ずつ滞在し、それぞれの日本での作品制作や思索の拠点となる。
クリスティアン・ヴルフ大統領、ゲーテ・インスティトゥート総裁クラウス=ディータ・レーマン、門川京都市長が列席され、本国をはじめ多数のジャーナリストがつめかけた開所式、それに先駆けて行われた内覧会は終了したが、今後、京都市民として新たな文化施設をどのように体感していけるか考察したいと思う。

京都を美しいと感じるのは、荒神橋から北山を臨む鴨川の風景だ。ヨーロッパから見る極東の日本という国の、さらにピンポイントでこの風景を選び佇んでいるドイツ文化センターは、高い知性と感性の館であると思う。かねてから時折訪ねる機会があったが、このたびの<ヴィラ鴨川>開所と同時に、気軽に立ち寄れるカフェがオープンしたので、さらに親しみが深まったように思う。カフェはカフェ・ミュラーと名付けられている。先年亡くなった振付家:ピナ・バウシュの代表作にちなんだ名だ。ピナ・バウシュは2007年に京都賞を受賞し、同センターでは記念講演が行われている。

アーティスト・イン・レジデンスとは、アーティストが滞在しながら制作するプログラムであり、レジデンスといえば、その施設のことである。これまでいくつかの国の施設を見る機会があったが、多くは休眠施設の再活用や、郊外や過疎の町、あるいは町の開発途上地域に新たに建てられたものだ。NPOや自治体と、運営者はそれぞれである。外部の情報や雑音を遮断して制作に没頭できる施設もあれば、休眠施設とはいえ町の真ん中にあり、アーティストが町や人と濃く関わりながら滞在できる施設もある。いずれにしても、単なる宿泊施設ではなく、アーティストと施設の間に達成すべき目標や目的が共有されている。あるいは、アートセンター附属の施設の場合もあるが、現存するアーティストの新たな作品制作現場となるアートセンターでは、おのずとそのアーティストの短期・長期の滞在が必要となるからだ。

さて、一市民として<ヴィラ鴨川>に期待するのは、町の喧噪ともほど近く、新旧の芸術やその他の知的空間と隣り合う素晴らしい立地条件を通じて、京都の文化が鴨川の川面を吹き渡る風のように流れ込み、ドイツや、滞在したアーティストがメディアとなって、作品やその人の行く先々へと拡散することだ。海外に3ヶ月住んで帰って来ると、かの地でまとってきた生活の匂いや日射しが、その文化の背景であったことを強烈に思い出す。その土地の些細な日常は、ときに、分厚い教科書や解説書に勝る。現在の複雑な世界を日本の誰もが理解したいと願い、日本という国の意義を探ろうとしている。特有の創造空間である京都は、現在その先頭にいるだろう。

<ヴィラ鴨川>へ、新旧の入り交じった京都の文化や京都の現在を透して見えた日本や世界が吹き渡り、滞在アーティストの感性によって滋味を増したドイツ文化の風もまた、京都のアートシーンやアーティストに吹き返す機会があるだろう。
なお、来年、関西日仏学館のレジデンス施設<ヴィラ九条山>が開設20周年を迎えるとのこと。
京都では、世界の相互理解のために芸術交流が信頼されている。
(松尾 惠 MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w)

図書室

図書室

カフェ・ミュラー

カフェ・ミュラー

ゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川外観

ゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川外観

アーティスト・イン・レジデンス

アーティスト・イン・レジデンス


ゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川開所式
(旧称 ドイツ文化センター京都)

Category: Events





PAGE TOP